流れ者仁義
劇場公開日:1965年11月20日
解説
「昭和残侠伝」でトリオの村尾昭、山本英明、松本功が共同でシナリオを執筆、「かも」の関川秀雄が監督したヤクザもの。撮影は「冷飯とおさんとちゃん」の飯村雅彦。
1965年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1965年11月20日
ストーリー
大貫組の若者で、組の喧嘩から五年間の香港生活を余儀なくされていた菊地章が横浜に帰ってきた。彼には、やくざ仲間の憧れの的“金バッジ”が約束されているはずであった。しかし、数年前親分が他界してからというもの大貫組は新興勢力としてのしてきた立志会におされ、今では組は解散し、かつての事務所は、元代貸柏木の妻静江と、その弟二郎が細細と経営する“天狗屋”という釣り堀店に変わっていた。菊地はなんとか大貫組を再建しようと仲間の消息をたずねてまわった。しかし警察のきびしい追求に仲間たちは今ではやくざの世界から足を洗い唯一人、昔幹部だった宮原は立志会に要領よく鞍がえしていた。菊地はわりきれない気持で昔の恋人由紀を、バー・サブリナに訪ねた。が、マダム明子は、由紀が竪気になって帰ってくるはずだった菊地を想い、自分も堅気になり独立して、洋裁店を開いていることを告げた。だが今や菊地はそんな由紀のもとに堅気で帰れる身ではなかった。どうしても大貫組を再建させねばならないのだ--。菊地はさびしく由紀と別れた。そうしたある夜、菊地は、香港当時兄弟分を誓いあった、今は立志会の幹部志賀に招かれて、彼の経営するソープランド“夢の国”にいった。だが昔の友も今は敵同士。菊地は風俗娘に売春を強いる志賀の悪どさに腹をたて、喧嘩別れした。やがて立志会が裏で麻薬を売買していることも解った。菊地は立志会への挑戦にファイトをかきたたせた。が、立志会の会長本庄や、宮原は、何とか菊地に手を引かせようと、まず立志会に反撥する柏木を轢殺し、息子の和男をおとりにして菊地を脅迫した。だが菊地の組を思う男意気に惚れた志賀は、和男を逃し、自ら単身菊地と対決した。一対一の男の勝負だ。が、こんな二人を立志会の会員たちが拳銃でとり囲んだ。今は、お互いの心意気を知り仲直りした菊地と志賀は、力を合せて立志会員たちを撃退した。がこの戦いで志賀は銃弾を受けて命を絶った。今やこれまでと、燃える怒りを胸に菊地は“夢の国”に陣取る本庄と宮原のもとに躍りこみ、二人を倒した。そぼ降る雨の中に、傷つきパトカーで連れ去られた菊地を見送る由紀の顔があった。