不倫(1965)のレビュー・感想・評価
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どっちかはっきりしない。
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結婚制度に大反対の作家がその持論を現実のものとしてしまったかのような妻妾同居へ至るまでは面白いのだが、いざ若尾文子と江波杏子が一つ屋根の下で暮らし始めてからが辛い。
両手に花どころか、衰弱しきってしまう川崎敬三も辛いのだが、観客が辛いのだ。若尾の策謀によって川崎も江波もこの生活から抜け出せなくなるのは分かるのだが、その理由がよく呑み込めない。
精神分析学上の心理分析や川崎の「性の美学」についてのナレーションが多いのだが、俎上にのっている若尾への分析とスクリーンに映る彼女とが重ならない。もちろんそんなに簡単に分析通りには当てはまらないからこそ川崎は泥沼のような生活へと落ちて行くのだ。
かといってナレーションから想起されるのとは別の女性を、若尾が体現してはいない。おそらく、議論されている女性像と若尾の演じる女性は別物にするのか、それとも可能な限り似せるのかについて、あまりよく考えずに撮ってしまったのではないだろうか。
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