黒の盗賊
劇場公開日:1964年12月24日
解説
「柔道一代 講道館の鬼」の結束信二と「間諜」の宮川一郎「暗黒街大通り」の井上梅次が共同でシナリオを執筆、井上梅次が監督した時代もの。撮影は「十兵衛暗殺剣」のわし尾元也。
1964年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1964年12月24日
ストーリー
徳川二代将軍秀忠治世の頃。旗本屋敷を専門に狙う黒の盗賊の一団があった。大御所家康の寵愛を笠にきる執政本多忠勝、天海僧正は、町作りを志す秀忠の意志を軽視して築城計画を押しすすめた。秀忠の側近、旗本立花次郎は、悪政をいさめ、再三町作りの実現を迫ったが、本多、天海に一笑に附されてしまった。折も折、築城の秘密の洩れることを恐れた忠勝は、五人の棟梁に反逆罪をきせ、打首の刑を宣告した。万策つきた次郎は、黒の盗賊になりすまし、五人の命を救った。が、黒の盗賊の一団も又仕置場になだれ込み、江戸城は大混乱におちいった。一方、江戸城の秘密を知る棟梁達を手に入れた黒の盗賊の一団は色めきたった。徳川に追われ、住む土地を失った武蔵太郎を頭とする彼等--黒の盗賊は徳川幕府を相手に江戸城の設計図と武蔵一族の領地を交換条件に取り引きをしようともくろんだ。彼等は、その仲介者として天海僧正に白羽の矢を立て、その行列を襲った。しかし天海も、事の起るのを予想し、服部半蔵ら伊賀者に警固をたのんだ。が、黒の盗賊は半蔵の攻撃をしりぞけ天海をうばった。その時天海は小太郎の顔を見た。それはあまりにも立花次郎に似かよっていた。やがて一対一の約束で僧正引渡しが行われた。しかし約束を破った半蔵は小太郎らを取り囲み、天海をとりもどした。次郎を黒の盗賊と思いこんだ天海は彼を地下牢にとじこめた。遊女屋に飛びこんで難をのがれた小太郎は、その家の一人娘桔梗に助けられ、二人の心に恋が、芽生えた。そして館に戻った小太郎は老臣甚左衛門から、立花次郎とは双児の兄弟であることを聞かされた。血をわけた弟の危難を知った小太郎は、立花家を訪れ、次郎になりすまして弟を救け、家康生け捕りを画策した。しかし次郎の許嫁千鶴小太郎の許嫁狭霧姫は、愛する女の本能で、別人であることを見抜いていた。これに気ずいた天海らは、再び小次郎を捕えた。一方、次郎は家康直筆の書面「徳川万世の訓」を読み、激しくうちのめされた。そんなとき小太郎捕わるの報がとどいた。今や次郎にも徳川に忠義だてする気は無くなっていた。次郎は黒の盗賊の一団を引連れ江戸城を襲い小太郎を救出した。「徳川万世の訓」を押えられた家康は、遂に意を屈し、武蔵一族に領地を返還した。新らたな天地を求める小太郎は、桔梗とともに行方定めぬ旅の空へ。次郎もまた、千鶴に別れを告げ、武蔵一族の領主として新らしい生活を始めることになった。