「何一つ笑えない。」馬鹿が戦車でやって来る マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
何一つ笑えない。
この監督の本音な映画。ヒューマニズムの欠片もない。無教養、貧困を笑い者にする。差別用語を平気で使う。
お嬢様に対して、庶民を『肥やし』と比喩する。そして、お嬢様は教養ある『医者』と恋に落ち、無教養の『馬鹿』が恋に破れ、ヤケをおこし、人生を駄目にする。ネタバレになるが、あの『○○はつらいよ』の予定調和なネタ。そして、あの映画のネタ元は、ここにある。
何一つ笑えない。
差別。ねたみ。ひがみ。暴力。陰口。偽善。それを笑い者にする。何が面白いのか?
『○○はつらいよ』はこう言った映画である。50作も続けるなんて、日本の恥だ。アイロニーとして描いているとしても、それで差別が払拭される訳ではない。
何回か見たが、親父の好きな映画だった。もう、見たくなかったが、親父の月命日だったので、もう一度見た。もう、二度と見ないだろう。
死んだキャラクターが、ご存命なのが唯一の救い。
松竹映画の流れは山◯洋次監督ではなくて、
小津安二郎監督である事は忘れては駄目であり、この映画は寧ろ東宝系じゃないだろうか?東宝の植○等さんの無責○シリーズをリスペクトしていると思うけどね。
良いか悪いかは別にしてね。
何も見る物がなかったので、ハノイからホーチミンへ向かう寝台車で消し忘れのAmazon「?」を見る。2025年 4月3日
作品としての評価は別にして、「差別用語」に対する認識が気になります。こんな言葉はけしからん、というのは今の感覚で、当時は日常的使われていた言葉の事を言ってるのですよね? その言葉に現在の感覚で嫌悪感を示すというのは、公正とは言えないのでは? 私はいかに山田洋二作品でも、この言葉が現在そのままの形で使われている事に驚き、嬉しく思っている者です。手塚治虫も笠木シヅ子もやられたからね。今の「買い物ブギ」を聴くと、情けなくて泣いてしまうよ。