胸の中の火
劇場公開日:1961年4月10日
解説
中村八朗の原作を「美しき抵抗」の原源一が脚色、「花と娘と白い道」の森永健次郎が監督した女子大生をめぐる青春編。撮影は「一石二鳥」の中尾利太郎。
1961年製作/56分/日本
配給:日活
劇場公開日:1961年4月10日
ストーリー
その日の演劇研究会の公演は不評だった。いつもヒロインを演じている明美の代りに喜美子を出演させたのが失敗の原因だった。喜美子はヤケになり、その夜は横田と遊びまわり、男をホテルに誘った。喜美子の両親は実の父母ではなかった。明美の家庭は貧しかった。彼女はモデルのアルバイトをして学費を稼ぎ、生計を助けていた。そのために舞台稽古に出られなかったのだ。数日後、喜美子は身体の変調に気づいた。横田の子供ができたのだが、横田は別れ話を切りだした。明美はエロ行為を要求したスタジオの主人と喧嘩して店を飛び出し、演劇部のリーダーの宮本と、図書館でアルバイトをするようになった。先輩で週刊誌の記者をしている坂井が映画に出ないかと言ってきた。打合せに行った旅館で、坂井は明美を襲った。憤然とした明美は交番に訴えた。坂井が社に帰ると、喜美子が待っていた。横田は財閥の息子だった。事情を聞いた坂井は、週刊誌に書くぞと脅かした。横田は十万円の口止め料を持ってきた。明美が売春婦になったと坂井がふれ歩いたが、宮本だけは明美を信じてくれた。坂井は今度は喜美子の体を要求した。外まで追いかけた坂井は、そこに待ちかまえていた宮本に投げとばされた。養父の卓也ははじめて喜美子に手をふりあげた。殴られながら喜美子は親の愛情を感じた。明美は父の久太が三十万円の貯金を持っているのを知って問いつめた。久太は子供には自分の家を持たせてやりたかったんだと涙を流していった。やがて、大学の校庭で談笑する学生たちの中に、明美と喜美子の明るい姿があった。