劇場公開日 1961年4月4日

「在りし日の鉄道」特急にっぽん よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

1.0在りし日の鉄道

2016年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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 品川の大きな車両基地の俯瞰から始まるこの映画は、在りし日の鉄道に携わる人々の姿を今に伝えてくれる。
 まずもって大浴場を備えた日本食堂の寄宿舎に驚愕。食堂車の調理係、ウエイトレス、社内販売係の若者たちが大勢いたことが分かり、鉄道の抱える雇用の大きさに感嘆する。
 東京から大阪の旅は、現在では新幹線に乗って昼寝をしている間に終わってしまうが、この当時は在来線の特急こだまで7時間以上と一日がかりの旅である。車中で2食摂ることも珍しくないわけで、食堂車が欠かせない旅であることが実感できる。

 先日亡くなった白川由美の颯爽たるアテンダント姿に見惚れる。現在の水準を当てはめても素晴らしいスタイル。昭和30年代でこのプロポーションは異次元であっただろうことは想像に難くない。それは、冒頭の大浴場のシーンで映るたくさんの大根脚との対比でも示されている。
 この時代の先進的なプロポーションの持ち主として、北原三枝と双璧をなす。

 昭和の懐かしい鉄道の旅を楽しめるこの川島雄三監督作であるが、お得意の男女のドラマはおざなりな感が否めない。小沢栄太郎と白川の絡みが少なく、あまりドラマが盛り上がらない。
 こだまの長い旅、たくさんの乗客・乗務員を描こうとしているが、90分の映画にはおさまりがつかなかった。

佐分 利信