東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯のレビュー・感想・評価
全3件を表示
強くない千葉真一と菅原通濟。
1972年の日本・香港・タイ・韓国合作映画。
日本公開は1973年。国内配給は東映。
【監督】:中島貞夫
【脚本】:高田宏治、中島貞夫
【原案】:菅原通濟
主な配役
【妹を殺された 和田達也】:千葉真一
【妹の夫 吉岡竜二】:松方弘樹
【和田のタイでの秘書的存在 パリンダ】:苗可秀
【三交商事の清水を追う ノン】:チャイヤ・スリヤン
【吉岡の愛人 李明玉】:金昌淑
【菅原通濟】: 本人
【三交商事 清水】:川谷拓三
1.菅原通濟なる人物
本作は菅原通濟という実業家のライフワーク、
つまり、三悪(売春・麻薬・性病)追放キャンペーンのプロパガンダ映画としての側面を持つ。
売春禁止法制定に奔走し、
麻薬追放キャンペーンでは山口組の田岡組長とも連携していた。
この謎多き人物は、映画にも本人役で出演している。
2.強くない千葉真一
当時は32~33歳。
京都ナンバーのダンプカーで、フェリーに乗り韓国に乗り込む。
新婚旅行中に事故で亡くなった、妹の死の真相を探るためだ。
言葉なんか通じなくて構わない。
気合いで真相に迫っていくが、
本作の千葉真一は、「無敵」ではない。
韓国でも、タイでも、チンピラたちにボコボコにされる。
珍しいパターンではないか?
3.まとめ
韓国やタイでの現地ロケが大半(に見える)だが、
その必然性はいまいちピンとこない。
千葉真一のカッコいいアクションが見たい人は、ガッカリするだろう。
☆2.5
この作品は、タランティーノ監督が大ファンで 映画 トゥルーロマンス...
何が面白いかと問われれば、こんなお粗末な映画をメジャーが作っていた事実が面白い。
WOWOW「アクションスター千葉真一」特集放送にて。
テレビシリーズ「キイハンター」で爆発的な人気を得た千葉真一は、銀幕でもアクションを披露していたが、東映では千葉の主演作は“際物”の扱いだったのではないだろうか。ほとんどが雑な脚本で、低予算に見える作品ばかりだ。
そんな中で本作は、香港・タイ・韓国との合作で、海外ロケ中心の撮影に製作費と製作期間がそれなりにかけられている。「キイハンター」はアジアでも放送されて人気があったと聞く。
とはいえ、脚本の雑さに変わりはなく、海外の俳優たちもかわいそう。
この映画の最大の価値は、ノラ・ミャオを日本に初めて紹介したということだろう(今だから言えるのだが)。〝苗可秀〟とクレジットされている。
ノラ・ミャオは香港では既にブルース・リーの相手役を務めていたが、それらの作品が輸入されるのはもっと後のこと。「ドラゴン危機一発」での初々しい姿の方を日本人は後から見たのだ。
タイトルにある「実録」とは何を指しているのだろうか…。
どうやら菅原通済(※)が本人役で出演していて(物語上、あの老人が何者なのか、ましてやご本人だとは全く分からなかったが)、彼の体験が映画に反映している(ことになっていた)からのようだ。
本作の前に公開されている『麻薬売春Gメン』とその続編も菅原通済のバックアップで製作されている。
※経済界のドン的なイメージがある菅原通済だが、映画は好きだったようで松竹とのつながりも強く、小津安二郎を支援して自らも何本かにカメオ出演している。洋画の配給なども行ったようだ。麻薬撲滅のために山口組と連携したりして、本当にこんな人がいたのかと思うくらい規格外の人物だ。
浅黒く脂ぎった千葉真一たが、案外お尻は色白だった…。
千葉がトラックを駆ってソウル→香港→バンコク(当時は“バンコック”だったんだなぁ)と後を追って行く相手は松方弘樹。
黒サングラスに白スーツで、まるでデューク東郷だ。
数年後、やはり香港との合作『ゴルゴ13 九竜の首』で千葉がデューク東郷を演じるが、見た目だけなら松方の方がデューク東郷まんまだ。
格闘アクション、ガンアクションにカーチェイスもありで、韓国・香港・タイのスターとも共演となれば面白そうのだが、イケてないタイトルの通り、内容は酷いものだ。
脚本も酷ければ演出も酷く、何より音楽がびっくりするほどいい加減で、開いた口が塞がらないのだった…。
極真空手の有段者である千葉真一が『ボディガード牙』で初めて空手家の役を演じたのは本作の翌年。
「空手バカ一代」のTVアニメが放映されて一大空手ブームが巻き起こった時だったが、映画界が『燃えよドラゴン』でブルース・リーのカンフー旋風に沸き返った影響の方が強かっただろう。空手もカンフーも当時は一緒くただったのだ。
それから間もなく、ノラ・ミャオが日本の男子たちを虜にしていくのだ。
全3件を表示