さえてるやつら
劇場公開日:1973年5月12日
解説
地方から東京の高校に転学して来た一人の高校生とその級友たちが、現代の矛盾を敏感に感じ、悩み、苦しみながらも真剣に生きて行く姿を描く。原作は右遠俊郎の同名小説。脚本は広瀬浜吉、監督は脚本も執筆している新人吉松安弘、撮影は「反逆の報酬」の金宇満司がそれぞれ担当。
1973年製作/93分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1973年5月12日
ストーリー
岡山のとある田舎町で強姦未遂事件--友人が女を知りたいというので協力したにすぎないのだが--起こした土井原亮は、東京の私立高校へ転入して来た、男子ばかりの高二F教室へ登校した最初の日、堂々と強姦未遂を自己紹介で言ってのけた亮に、たちまちクラスの人気が集った。特に親しくなったのは、共闘かぶれの萩村、ギターのうまい早瀬、どこかひ弱な感じのする源たちである。亮の隣りのアパートに住んでいる、小学校の先生の治子、大学二年の正子、高校二年の和子の美しい三姉妹に亮はかつてない心のときめきを覚えた。ある日、亮、源、中島の三人は軽い気持で反戦デモに参加した。だが、源はデモの持つ独特の魅力に次第にひかれていった。翌日、活動家の藤田が亮たちを自分たちの共闘組織へ勧誘してきた。放課後、亮は藤田に言われた喫茶店へ、ぶらりと立ち寄った。驚いたことに、藤田たちに混って正子もいた。その夜、亮は始めて正子と二人だけの時間を持つことができた。酒を飲みながら正子に甘える亮。そんな亮に正子は優しく接吻した。家へ帰った亮は、叔父夫婦に、自分たちの養子になってほしいと言われる。亮の両親の許可も得てるというのだ。亮は学校を休んで久し振りに故郷へ帰った。友人が一段と逞しく成長しているのをみた亮は圧倒される。自分の甘さに気づいた亮は東京に帰り、叔父夫婦に養子の件を承諾すると、心機一転して、翌日から牛乳配達を始めた。ある日、亮は藤田から、正子が組織の幹部と関係し、身ごもって捨てられた、ということを聞き愕然となった。そして、公園で正子と会った亮は彼女を激しくなじった。しかし、それもいつしか、彼女への愛の告白となっていた……。翌日、学校で生徒会からの中間テスト中止の要求が通らず、藤田たちが決起した。遂に学校側は機動隊を導入した。騒然となる校内。その時、源が「やめてくれ!」の絶叫とともに屋上から落下した。落下地点めがけて走る亮と担任教師の佐野。源のことで学園紛争も一段落つき、源も一命をとりとめた……。早朝の街を、今日も亭は牛乳配達の自転車のペダルを力強く踏み出した。しかし、亮の顔はいつになく厳しかった。