人魚がくれたさくら貝
劇場公開日:1980年3月15日
解説
海に近い田舎の祖母の家で夏休みを過ごした都会の少女が織りなす、夢と冒険のひと夏の出来事を描く。長崎源之助の同名の児童小説の映画化で、脚本は「あすも夕やけ」の松田昭三、監督は「マヨコに雪が降る」の安作郎、撮影は杉田安久利がそれぞれ担当。
1980年製作/67分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1980年3月15日
ストーリー
京都に近い日本海に面した小さな村にいるおばあちゃんのところへ、東京から夏休みを過ごしに、小学校四年の幸子は一人で向った。紺碧の海、澄んだ空、光輝く白い砂浜、都会にはない自然がその村は溢れている。幸子はすぐに地元の少年たちと親しくなり、中でも足の悪い哲治少年とは、幸子が仲間はずれの彼をかばったことから、特に親しくなった。ある日、ボートで海に出た幸子たちは、高波に遭って船が転覆してしまい、彼女は海の底へ。幸子は意識を失い、夢を見た。人魚が現われ哲治の方へ引っ張っていくのだ。意識が戻ると、彼女は泳ぎ上手の哲治に助けられたことに気づく。だが人魚のことが忘れられない。数日後、見知らぬ美しい女性が現われ、幸子が欲しがっていたさくら貝を置いていった。幸子は思った。人魚に違いない。その人は、哲治の別居中の母で、幸子のためにようやくさくら貝を探しだしたのにプレゼントできずにいる哲治を見て、内緒に持ち出し、渡してやったのだ。夏が終り、別れの日が来た。幸子が人魚がくれたさくら貝のことを話すと、哲治の心の中は幸せに満たされた。黙って野花をつんで幸子にささげる哲治に、幸子は彼の頬にキスをすると、後も見ずにかけだして行った。「さよなら!」幸子の澄んだ声が砂浜にこだまする。あっけにとられていた哲治の胸に、やがて素晴しい感動がこみあげてきた。