劇場公開日 1977年6月18日

「裸の楽園と犬の呪い」犬神の悪霊 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0裸の楽園と犬の呪い

2021年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 日本初のオカルト映画だって!?いやはや展開が凄すぎて頭の整理ができないくらい面白かった。山奥の久賀村にウラン鉱脈を探査するためやってきた技師たちが祠を誤って壊してしまい、犬をひき殺してしまう。犬好きの方は要注意!

 いきなり渓流で美女二人のオールヌード。唐突すぎやしないか?などと思っていたが、加納技師とその裸女麗子(泉じゅん)と結婚。これには麗子の父がウラン鉱脈の山の所有者であり、一石二鳥でもあったのだ。もう一人の美女かおりも加納が好きだったのに・・・といった展開。

 閉鎖的な村と原爆の材料ともなるウランを巡る複雑な絡み。鉱山では採取するため溶媒として硫酸を流すというエピソードもあり、それを嫌われ者だった室田日出男演ずる垂水(かおりの父)と剣持家(麗子の実家)の対立を決定的なものにするのだ。

 犬の祟りの恐ろしさよりも、むしろいがみ合う村人たちの狂気のほうが怖い。5人組の暴走族(?)の存在といい、若い娘がレイプされそうになったりと、閉塞感に圧倒される。また、純愛といった一種の清涼剤であるにも関わらず、取り憑かれて凶暴化する女性たちや、不気味で笑えるお祓いが強烈な印象を与えてくれた。特に村人たちが麗子の体をおにぎりゴロゴロするシーン。

 もしかして助演女優は剣持磨子(長谷川真砂美、その後『狙われた学園』にも出演))だったのか!幼いながらも演技が上手くて、色んな表情を持つ魔性の少女。ただ、すね毛だらけの足がミスマッチすぎ。演出やり過ぎ!

 個人的には『犬神家の一族』よりもこっちが好き!伊藤俊也の反核のようなメッセージも見え隠れするし、村社会の陰湿な部分をあぶり出している。基本はドロドロなんですがね・・・

kossy