「犬神家なんて名前からしてもう十分に何かある」犬神家の一族(1976) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
犬神家なんて名前からしてもう十分に何かある
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総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
一つの地域を牛耳る一族のどろどろとした裏側と、それに絡む殺人事件を不気味に描き出す。
複雑な家族関係の相続問題でお家騒動があって十分に揉めているのに、その後に次々に起こる猟奇的殺人と謎が、複雑で怪奇な雰囲気を作る。物語が進展するにつれてこの一族の世間離れした闇の部分が晒されていく過程も良い。この時代ならば本当に似たようなことが起こっていそうなのもいい。そして死後もなおわざと混乱を招こうとしたのではないかともとれる遺言を残した初代が大きな陰を落としていた。
最初から最後まで呪われた一族である。そもそも犬神なんて名前からしておどろおどろしい。物心つかない子供のころに観たときから、物語のことは覚えていなくても顔を覆った佐清さんのことだけはしっかりと心に刻まれたほど異様だったし、その異様さがまたこの作品を象徴している。
だけど顔と声を変えても記憶や性格や能力までは変えられないので、母親相手に他人に成りすますのは難しい。いい歳した女が自分は無傷のまま力づくで若い男を次々に殺していくのも難しい。犯罪の実現性は無理があって納得がいかなかったし、そのために誰が犯人かの予想もはずれてしまった。ただし死体の処理は犯人も知らないままに別人がやったというのは斬新だった。
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