「0120 珠代の言ったことは本当さ」犬神家の一族(1976) NWFchamp1973さんの映画レビュー(感想・評価)
0120 珠代の言ったことは本当さ
1976年公開
大手五社のブロックブッキング方式が崩壊し、一部
「日本沈没」などヒットを飛ばした大作至上主義も
上手くいかず、どないすんねん!?という業界の悲鳴が
叫ばれる中、その閉塞感を打ち破ったのが角川映画。
本作以降は大ヒットの記録も打ち立てるが中身は
スカスカでどうしょうもない作品が続くも、
本作は巨匠市川崑を打ち立てて横溝正史原作の
メディアミックス路線で大成功に導く。
特に琴線に触れたのが、「音楽を前面に打ち出した」。
それまでの邦画はゴジラ映画(というか伊福部昭)を
除くと、音楽は全くの付け足しみたいなもので、
主題曲だけで映画が語れることはなかったのだが
起用されたのは映画音楽は初めてのジャズ畑出身
大野雄二。
メイン旋律はハンマーダルシマーという楽器で
奏でられた主題曲「愛のバラード」はそれはそれは
強烈なインパクトをもたらす。
シングル盤レコードの出だしが一番好きで
映画版はいきなり主旋律から始まるし
オリジナルスコアは前振り長すぎ。今もレコードは
持っているので聴きたいんだけどプレーヤーが無いので
40年ほど聞きそびれています(悲)
主題曲に被さるタイトルデザインは
市川崑監督にとってそれ自体がアートであるという
極太明朝体で書かれ、スタッフキャストの名前が
微妙な位置で折れ曲がる。
島田陽子が美しさ全盛期で物語に深みを与える。
神の目線で謎を解いていく石坂金田一も最高。
原作は横溝フェアで長編は全部揃えました。
市川崑監督のさまざまな映像テクニックも冴える。
ジャニタレもCGもない映画の重みを思い知る本作。
すべてに渡って素晴らしかったです。
95点
初鑑賞 1977年3月20日 セルシーシアタ
パンフ購入
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