ビルマの竪琴(1985)のレビュー・感想・評価
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ええ話なんやろけど
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戦争中にある小隊では、水島の奏でる竪琴が癒しになっていた。
やがて日本が降伏し、小隊も降伏するが、別の隊が降伏しない。
それを説得しに行った水島はそのまま姿を消し、時が経つ。
小隊は捕収容所近くで水島に似た兵を見かける。
しかも僧のひく曲のアレンジは、水島のものだった。
それでも水島は一切口を開かないのだった。
やがて隊は日本へ帰還できることになる。
そして水島に向かって懐かしの歌を歌うと、水島は竪琴で応える。
それでも口は閉ざしたままだった。
ビルマを去る日に水島から手紙が届き、全てが分かる。
小隊の説得に失敗し、小隊は玉砕、それからも多くの戦死者を見た。
なので鎮魂のためにビルマに留まることにしたとのこと。
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名前はよく知ってたけど、どんな物語か知らんかった。
感動的な話だが、水島の気持ちがよう分からんかった。
今の時代の人にはちょっと理解でけんのとちゃうんかな。
水島には日本に家族がいなかったのだろうか?
戦闘シーンは余り多くないのでむごさはなかったけれど上官が違えば部下の運命が全く変わってしまうのには切なさだけが残った。
オウムが一役買っているがちょっと弱かったか?
ただ、兵士との分かれのシーンで水島の肩に乗っているオウムは画面の中にしっかり溶け込んでいた。
その当時はどうかわからないが今観ると豪華俳優陣でその当時の姿を見れるのは一つの楽しみでもある。
中井貴一はこの頃は親の七光りであったんやろか?
川谷拓三はこんなええ役どころで出てたんや
菅原文太はぴったりの役どころやなあ 等
それはそうと疑問点もたくさんあった
戦場まっただ中にいる軍隊があんなに歌がうまい?
ハモる?!理解できません あらためて上官次第やなあと思った
中井貴一はほんとうに竪琴を弾いていたのやろか?
「通信用」てとっさに出てきたのにうまいこと言うたなあ
ビルマではそんなに簡単に僧になれるのか?等々
なんとなく美談で終った感があり戦争の悲惨さは余り伝わってこなかった 捕虜の生活も悪くなさそうだったし
セルフリメイク
市川昆監督はセルフリメイクするのが好きなのだろう。自身1956年に『ビルマの竪琴第一部、第二部』を作っていて、しかもアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされている。
ビルマの民家に匿われていたとき、イギリス軍がやってくる。いつものように唱歌のコーラスによって敵の目をごまかそうとしたが、夜になるとイギリス軍も歌いだす。音楽によって戦争が止められる!などと感動したのも束の間、実は3日前に停戦になっていたのだった・・・そして、降伏。彼らの部隊も投降し、ムドンで捕虜収容所に入ることになるが、水島だけは三角山で抵抗を続ける日本兵へ投降を勧める役を任ぜられる。しかし玉砕。なんとか一人生き残った水島は200キロ離れたムドンへ向かうが、日本兵の無残な死骸を見ながら嘆き悲しむのだ・・・
収容所の兵士たちは水島に会いたくてしかたがない。一方の水島は慰霊のために僧になってしまっているので会わせる顔がない。一度、日本兵が作った橋の上で遭遇するが、知らないフリをしていたのだ。
ずっと「埴生の宿」がテーマのように何度も合唱され、日本へ帰ることになった兵士たちとの対面でも水島本人だと確認するため歌われる・・・その後、竪琴の独奏で「仰げば尊し」を弾き、感動の波が押し寄せた。
巨大な涅槃大仏像など美しい仏教国、日本が降伏した後だということもあり、現地の人だって日本人に優しい人ばかり。その反面、無造作に山積みされた屍たち。彼らを弔う気持ち、見てしまったために帰れなくなってしまった水島の心の奥。結果はわかっているのに、もう充分だから帰ればいいのにと願わずにいられなくなる・・・
現地のおばあさん役の北林谷榮が大阪弁まじりなので楽しい。ずっと入ってたナレーションが兵士の中でも落ち着いていた渡辺篤。石坂浩二だけが、ちょっと弱い・・・
本当に伝えたいことは撮られていないところにある
人生とは選択である。選択そのものが人生と言える。
でも、時には人に相談することも必要。
水島の生き方に全く共感できないために、途中から半ばどうでもよくなくなった感は否めない。
だって、軍人は上官の命令に従うのなら、どうして頑なに自分の行動に固執するのか。
栄養が足りずに判断が鈍ったのかとも考えたが、そうなら途中で思い返してもいい。
ということでストーリーについてはモヤモヤは残る作品です。
それでも最後まで見たのは、別の見方をすれば、ミュージカル映画とも見えるかもしれんと思ったから。
男声合唱オペラ。
そういうヒントはくれた。
【以下、ネタバレではないけどネタバレよりもある意味閲覧注意】
一度しか見ていないので、という前置きの上で進めると、これは悪夢のシーンをカットしたある種ファンタジックに描いた物語である。原作が児童文学であるということから考えて童話なのだ。
つまり水島が説得に失敗して移転先の収容所に戻る前日までは現実のことだが、そのあとは重要なシーンを大幅にカットした物語になっている。本当は見るに耐えない奴隷となり強制労働を強いられた仲間を見てしまって、自分は捕虜から逃れるために僧侶に化けて過ごしていたのだ。
会田雄次の『アーロン収容所』はビルマで英軍捕虜となった時に受けた非人道的な奴隷労働生活の記録である。推して知るべしなのである。
なのであくまでも英軍にバレぬように日本語も話せぬビルマの僧侶となり、音楽だけで想いを伝えようとしたのだ。
そう考えるとこの映画の辻褄がぴたっとハマってくる。
慰霊という行為にみる人間性
無造作に放置された死体からは、人間だったという痕跡が、まるで感じられない。
一人一人に思考があり、感情があり、唯一無二の存在だったことさえも、そして各々に人生があったことさえも、尊厳のかけらもなく放置された肉片からは、全く感じられない。
そんな無情さと、自然における人間の小ささと、大きな世界の片隅で殺し合っている行為の虚しさが、胸に迫ります。
ビルマ人にそっくりの日本兵が、ビルマの僧侶のふりをして、巡礼の旅に出る。
彼が供養したところで、何かが救われるわけではないけれど、それでも供養せざるをえない気持ちになるのが人間なのでしょう。
例え彼の名前が後世に伝わらなくても、ビルマという地で誰かが戦死者を供養した、という痕跡が残ることで、後世誰かの救いにはなるかもしれない。
日本式の納骨にその思いが込められている気がしました。
罪を贖うかのようにさすらう水島は、どこへたどり着くのでしょうか。切なさが込み上げます。
前作がよかったので見たけどさらによかった
同じ監督がリメイクしたということで、ぜひ両方みたいと思い、鑑賞。
第一作にとても感動したけど
本作は、さらによかった。
ほぼ同じ脚本。
前作は美しいけど力が入りすぎていて若さを感じた。
本作は、それがいいかんじにこなれていて
洗練を感じた。
水島の中井貴一がとてもはまっていてよかった。
白黒もいいけど、夕日や僧衣のオレンジが胸に残った。
水島、一緒に日本に帰ろう
総合65点 ( ストーリー:75点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
戦場に散っていった多くの命を目の当たりにして、いてもたってもいられなくなる。普通の兵士が体験した悲惨な出来事が彼の運命を大きく変える。別れを告げる水島の奏でる「仰げば尊し」が悲しくビルマの空に消えていく。彼の手紙が彼の過酷な決意を伝える。
いい話だと思うが、古い映画ということもあり演出は古さを感じる。日本兵たちはのんびりと生活しているし、捕虜収容所でもイギリス軍と何の問題も無くうまくやっている。三角山の司令官と兵士との交渉は短すぎるしもっとしっかりと描かないと臨場感がない。いかにも決められた台詞を喋っていますという雰囲気しかない。水島が出会う死体は腐乱して虫が湧いてもっと汚いはず。匂いの漂わない無機質な人形のような死体はこざっぱりとしていて、そんな死体を簡単に片付けられてはあっさりとした印象しか残らない。戦争の緊迫感や悲惨さを描く演出が足りなくて、水島を決意させた心の傷が直接はっきりと伝わってこないのが惜しい。
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