ガンダーラ

劇場公開日:2025年6月20日

ガンダーラ

解説・あらすじ

カンヌ国際映画祭の審査員特別賞を受賞した「ファンタスティック・プラネット」など、独創的でイマジネーションにあふれるアニメーション作品を生み出したルネ・ラルーの長編第3作。

平和と悦楽の未来世界ガンダーラでは、人々と動植物が平穏に暮らしていた。しかしある時、レーザーですべてのものを石化してしまう機械人間メタルマンが突如、攻撃してくる。ガンダーラの指導者たちは勇者シルバンを探査に向かわせ、メタルマンを操っていたのはガンダーラの科学者がかつて生み出した人工生命体であることを突き止めるが……。

SF作家ジャン=ピエール・アンドルボンの原作をもとに、SFイラストレーターのフィリップ・カザがキャラクターデザインを担当し、北朝鮮のスタジオで制作された。平和な未来都市を舞台に、遺伝子操作による被害や人工知能研究が生み出した予想外の怪物など、現実世界でもやがて起こりうる問題を予見したかのような物語が展開する。

1987年製作/83分/フランス・北朝鮮合作
原題または英題:Gandahar
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2025年6月20日

その他の公開日:1989年3月11日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)1987 COL-IMA-SON – France 2 Cinema – TF1 STUDIO

映画レビュー

3.0『ファンタスティック・プラネット』監督の長篇第3作。なんと北朝鮮のスタジオ制作!

2025年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ルネ・ラルー特集上映の3本目。
そこそこ面白かったけど、北朝鮮のスタジオ制作だときいてびっくり。
ルネ・ラルーは専ら金銭的な理由で、1作目の『ファンタスティック・プラネット』をチェコスロヴァキア、2作目の『時の支配者』をハンガリーと、いずれも共産圏の異国の地で制作しているが、よりによって北朝鮮とは……(笑)。
北朝鮮側としても、原作者も監督もキャラデザもフランス人の企画をいきなり持ち込まれたところで、まあまあ大変だったろうな。
パンフによれば、ピョンヤンのスタジオは400人以上を抱える巨大なもので、そのうち150人が『ガンダーラ』に割り当てられたらしい。資材と電力の不足で作業は困難を極めたうえ、アニメーターが裸体を描写したことがないなど、さまざまな問題があったが、スタッフたちは結束し、最後はフランス人スタッフと北朝鮮人スタッフのあいだに熱い友情が生まれていたとのこと。いい話だけど、若干、江戸時代に来日した宣教師の「日の本の民は勤勉で清潔であった」みたいな上からの口ぶりで、いかにもフランス人らしい言い草だなあ、と(笑)。
壁にスケジュール表を掲出したら、壁に貼っていいのは金日成の肖像だけだとスタジオの所長に怒られた話は、いかにも北朝鮮という話で面白かったけど。

― ― ― ―

お話は、こちらも前2作の長篇アニメ同様、まさに「王道」といってよいSFアニメであり、ルネ・ラルーの本来の資質と関心の中核には「フランス製王道SFの忠実なアニメ化」があったことを如実に示す好例といえる。
もちろんルネ・ラルー本人に個性がないというわけではなく、3作に共通する要素からは、むしろ「作りたいSFアニメ」の設定の幅が結構狭くて、その好みの作りに拘泥する監督の姿が浮き彫りになる。
●荒野の広がる大地に、奇妙な植物群が巨大構築物を形成し、あやしげな生物が動き回る、独特の自然相。
●未知の土地に放り込まれた男性主人公が、なりゆきにまかせて行動していくなかで成長を遂げていくジュヴィナイル的構造。
●画一化、同一化、一元化を目指す全体主義的な思想をもった強大な敵を、「個」を認めることで打破する物語展開。
●共産的な理想をもとに新たな世界を構築していく未来志向。
●辺境で生きる野性種に対する温かい視線と問題意識。
●本筋と関係のない動植物の生態や風土、習俗、自然現象などを点描することで、世界観を充溢させる姿勢。

『ガンダーラ』の場合、日本のアニメでも観たことのあるような造形と設定が冒頭からいろいろと登場し、なんとなく親近感のもてる内容になっている。
『デビルマン』の妖鳥シレーヌみたいな女頭領に率いられる、ガンダーラの都市ジャスパーの女性議会。
『銀河鉄道999』の機械化人や『キン肉マン』のウォーズマン(それからもちろん『スター・ウォーズ』のストームトルーパー)を想起させるメタルマン軍団。
石化光線によって次々彫像のように変化させられる『Dr.STONE』のような展開。
菌糸の森をたどっていく『ナウシカ』や『メイドインアビス』のような探索行。
ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を思わせる巨大建造物や奇妙なグリロスたち。
そして、フランク・ヘネンロッターですらここまでやらなかった、生々しい「トランスフォーム」のフリークス描写。
いずれも、日本人の体感になじむSF描写になっているのではないか。

題材やモチーフも、とてもわかりやすくSFしている。
「時空の扉」を介しての現代Vs.未来の戦争(『ターミネーター』)。
暴走する人工知能(『2001年宇宙の旅』『マトリックス』)
辺境の民との共闘(『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』)
などなど……。主人公シルバンの、捕まったり逃げたり攻め入ったりといった行動の流れ自体、『スター・ウォーズ』のハン・ソロあたりの「スペースオペラの主人公」を彷彿させるものがある。

不思議な感じがするのは女性たちの面貌で、どことなくコーカソイドというよりはネグロイド系の顔立ちに見える。これは、単にフィリップ・ガザのキャラデザのクセなのか、あるいは、なにか人種的な含意でもあるのか。『ガンダーラ』という東洋的な国名ともなにかつながりがあるのか。

作画に関しては、北朝鮮のスタジオにしては頑張っているほうなのかもしれないが、全編を通じて、何かしら日本人の感性に合わない妙な動画になっているし、全体に野暮ったいというか、とっぽい感じの出来。同じ動きの繰り返しも多いし、予算や工程数が足りていない感じはひしひしと伝わってくる。とはいえ、とりたてて「変」というほどでもなく、及第点の仕上がりといえる(キャラデザや話運びはかなりダサい感じだけど……)。

総じてそこそこ楽しめるSFではあるが、ノリはやけにのんびりしていて、若干退屈してしまう人もいるかもしれない。
まずは、ルネ・ラルー長篇3本をまとめて上映して、われわれ今の人間が3本を比べながら観る機会を与えてくれた渋谷HUMAXシネマさんに感謝。

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じゃい

3.0ゴダイゴではない

2019年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 独特のアニメ。昔、TVアニメで放送されていた大魔王シャザーンとかを思い出した。

 ストーリーは単純なヒーローものかと思っていたら、時空を飛び越えたりして、壮大なSFのような展開になる。だけど、終盤が急ぎ足。ガンダーラが近未来的な雰囲気だけど、自然がいっぱいのジャスパーには元ガンダーラ人で顔やら体が無茶苦茶にメタモルフォスされた不気味な住人だらけ。“敵ではない”などと現代にも通ずるテーマかと思いきや、冷戦末期の時代だからそうでもない。1000年経ったら自分を殺せとメタモルフは言ったけど、その未来からやってきて世を荒らしてたんだから、さすがにタイムパラドクスは考えてなかったようだ・・・

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kossy

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