感激の一夜
解説
チャールズ・サンダーソンとオズワルド・ミッチェルの両氏が原作並びに監督した音楽映画で、ロニー・ヘプウォース少年、フランク・H・ロバートスン、ドロシー・ディクソン、等が主演し、アーチー・ピット、フレッド・ダプレツ、等が助演している。音楽はコスモ・バンドが担当した。映画中、主題歌たる「ダニー・ボーイ」その他の歌が多数に歌われる。
1934年製作/イギリス
原題または英題:Dann Boy
ストーリー
ヴァイオリンニストのパット・クレアはかつてはオーケストラも持っていた身分であったが、今は落ちぶれて妻とも離別し、一人息子のダニーと、宿を次々と求めては、街頭で流行歌を奏でながら日を暮していた。ダニーは手風琴が得意だった。しかし、この頃、パットの妻ジェーン・ケイも我が子恋しさにアメリカから帰って来て、夫と子供を探したが行方が知れず、彼女の出演した舞台は大成功だった。一方、パットとダニーとはシルバー・サムの安宿に漸く落着いた。この安宿には色々の音楽家がいた、中でもマイクは二人の友達となった。この頃、レオ・ニューマンという劇作家がいて彼はジェーンの舞台に心惹かれたが、この同じ彼が一方ではパットを救い上げたのである。ジェーンの舞台の成功を後援者マーティン達がカフェー・マクスで祝う事になった。それは丁度、大晦日だった。そしてシルバー・サムの安宿の音楽家達が次々とここで出演した。ジェーンも人々にせがまれて歌ったが、夫と我が子の姿を見て、胸迫り、そこに失神した。オーケストラを指揮していたパットも感動に失心した。だが、これが再び父と母と子の三人を結び付ける夜だったのである。そしてやがて十二時の音と共に新しい年が来るのであった。