海国の誉れ

解説

「朱金昭」「南欧横断列車510」のウォルター・フォードが監督した作品で、欧州大戦中単身でドイツ巡洋艦と戦った無名の一水平の働きに基づいて書かれたC・S・フォレスターの小説をJ・O・C・オートンが脚色、マイケル・ホーガンとジェラルド・フェアリーとが台詞を執筆した。主役はジョン・ミルズで、「永遠の緑」のべティー・バルフォアとバリー・マッケイが助演し、その他ジミー・ハンリー、「空襲と毒瓦欺」のジョージ・メリット、ハワード・マリオン・クロフォード、パーシーウォルシュ等も出演している。撮影は「ユダヤ人ジュス」のバーナード・ノウルズ。イギリス海軍省の特別援助の下に製作された映画である。

1935年製作/イギリス
原題または英題:Born for Glory

ストーリー

一八九五年、ロンドンの街中はイギリス陸海軍の兵に満たされ、歓呼の声に湧き返っていた。ウィリアム・ブラウンの娘エリザベスは勇ましい軍人姿に憧れを抱き、父の強いる結婚を拒み続けていたが、伯母の家へ送られる途中、ふと若い海軍士官サマーヴィル中尉と相識り、以後四日間というもの二人は情熱の虜となった。それから中尉は中国に赴任して彼女と別れる際、彼の父がネルソン提督から貰った金時計を彼女に記念として残して行った。以来、二人は相見なかったが、やがてエリザベスは母となり、父や兄に抗して、己一人の手で愛児を育てて行った。そして二十年の後、彼女の愛児アルバート・ブラウンは母の意をうけて海国軍人としての一歩を踏み出していた。幼年学校、海軍士官学校を経て、彼は今やラトランド号の乗組員の一人であった。常に母から與えられた金時計を肌身に抱きながら。ラトランド号はケープ・タウンでドイツの戦艦ツァイテンの公式訪問を受けたが、その時にアルバートはマクスという愉快なドイツの青年と友達になった。だが、両艦の宴がたけなわな時、ツァイテンの艦長フォン・ルッツは一通の電報を受け取った。すると直ちに彼は乗組員を引き上げて去っていった。世界大戦が勃発したのである。それから、ラトランド号は商船を撃沈するドイツ艦の捜索にタスマン海に乗り出したが、そこで巨艦ツァイテンにめぐり合い撃沈された。アルバートは数名の乗組員とともに敵艦に救われた。フォン・ルッツ艦長は彼から軍機を探ろうとしたが彼は頑強に口を開かなかった。しかし彼は味方の優秀な戦艦レオポルドが今やツァイテンに迫りつつあることを知っていた。彼はツァイテンを味方が来るまで引き止めねばならぬ。そこでツァイテンがラトランドと戦った際に受けた船傷をレゾリューション島で修理している時、そっと収容された病室を脱出して島に隠れた。夜明けの薄光で、彼は修理に来た敵兵を見た。それはマクスだった。だが祖国のためだ、彼はマクスを射った。ツァイテンからは島へ討伐隊が出動した。アルバートは転戦奮戦し、ツァイテンからは遂に大砲が放たれた。その砲声を聞きつけてレオポルド号は迅駆し来たり、ツァイテンに砲を浴びせて撃沈した。レオポルド号の艦長は島に味方がいてこの働したと知り、島に人を派したが、その時は既にアルバートは息絶えていた。彼の遺留品の中に艦長は見覚えのある金時計と、その裏に二十年前の恋人エリザベスの写真を見た。サマーヴィル艦長は涙の中にレゾリューション島に十字架を立ててアルバートの霊をいたんだ。

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