「ピュアな恋愛が心中に至るまでを丁寧に描いた秀作。」うたかたの恋(1936) Y.タッカーさんの映画レビュー(感想・評価)
ピュアな恋愛が心中に至るまでを丁寧に描いた秀作。
皇族者の情死という大変にスキャンダラスなマイヤーリンク事件の事は、ミュージカル「エリザベート」でうっすらとは知っていたが、この作品は、そういうスキャンダラスな面を味付け程度に留め、皇太子ルドルフが1人の人間として見られない苦悩と、唯一彼を地位と名誉関係なく愛した令嬢との盲目的な恋愛にウェイトを置いて、やがて心中に至るまでが、丁寧に描かれている。特に、互いの本当の身分が分かるバレエ鑑賞のシーンの舞台と離れた二人のオーバーラップは非常に映画的な見せ方で面白い。悲劇的なラストも見ようによっては腑に落ちるのは、あくまでも2人のピュアな恋愛から来るものだろう。ダニエル・ダリューの美しさもこの作品の見所。
コメントする