モロッコ守備隊
解説
「ルイ・ブラス」「カチアの恋」のダニエル・ダリューが主演する映画で、「格子なき牢獄」「美しき争い」のレオニード・モギーが渡米、帰仏しての監督作品である。ピエール・ブノア作の小説に基づいて監督モギーが「海の牙」のジャック・レミーとベルナール・ボルドリーと協力して脚色し、ロジェ・ヴィトラックが台詞を書いた。撮影は「偽れる装い」のニコラ・エイエ、音楽は「大いなる幻影」のジョゼフ・コスマが作曲、装置は「厳窟王」のルネ・ルヌーとムネッシェが担当した。共演者は「高原の情熱」「山師ボオトラン」のジョルジュ・マルシャル、「悲恋」「狙われた男(1937)」のジャン・ミュラー、「弾痕」のアンドレ・クレマン、新人のポール・ムーリッス、ロベール・ダレーン、ピエール・ルイ其他である。
1947年製作/フランス
原題または英題:Bethsabee
ストーリー
フランス領モロッコの南、沙漠の奥地の土匪ははん乱の絶え間なく、守備隊はその鎮圧のために奔命しているが、追えば逃げるハエの如く、聯隊長の大佐の心労の種である・大佐のもとには共に中隊長として功を争う二人の大尉がある。一人はジョルジュ・デュブルイユ大尉、他はリュシアン・ソマーヴィル大尉。ともに自信たっぷりの色男、慕いよる商売女は多いがソマーヴィル大尉には大佐令嬢エヴリンという婚約者があり、デュブルイユ大尉は、パリから近く許嫁のアラベラを持つ身である。そのアラベラは思いがけず早く訪れた。喜んだジョルジュは賜暇を得て夢のような幸福の幾日かを過ごし、婚約ひ露の宴を大佐以下、将校連を招いて催した。アラベラとリュシアンは初対面のあいさつをさりげなく交したが、アラベラにとって彼こそ恐るべき男であった。アラベラは乙女心の一筋に男を信じてリュシアンと愛し合ったのであるが、彼は女の純情をふみにじる鬼のような男で、彼女はリュシアンの魔手を逃れて、行方をくらましたのであった。その痛手を忘れかけたころ、ジョルジュと会って愛し合い、彼の任地であるモロッコに訪ねて行くと約束したのであった。彼女は愛していない夫と離婚訴訟中なので、離婚出来たらモロッコへ行くと偽ったのである。皮肉な運命は彼女が逃げたいと思う男と愛しもとめる男とが共にいる砂漠の町に、彼女を導いたのである。アラベラは秘そかにリュシアンの家を訪れ、ジョルジュを愛している自分を忘れてくれと頼んだ。男は女は勝手なものだなと冷笑したのみであった。その様を計らずも訪ねて来たエヴリンが目撃し、事情は知らぬままに燃え上がるしっとの情をおさえ得なかった。エヴリンはアラベラを恐ろしい魔性の女と思い込んだのである。父の大佐がアラベラを姫君のように好遇するのも、アラベラの手管にばかされているのだと考えた。土賊反乱の報が来て、討伐隊を出すに当り、大佐は二人の大尉のいずれを隊長にすべきか迷ったが、アラベラを迎えているジョルジュを出すに忍びず、リュシアンを選んだ。リュシアンはアラベラが大佐に頼んで自分を死地に赴かせるのだと邪推し、アラベラを訪れて詰問した。その場に来会わせたジョルジュは裏切られたという思いを抱かざるを得なかった。ともかくもリュシアンは出発し、重傷を負って帰還した。その様に気も転倒したエヴリンは父とジョルジュの前で、アラベラを罵り侮辱した。併し死にのぞんだリュシアンはアラベラを不幸に落とすに忍びず、ジョルジュに全てを告白し、アラベラに罪のないことを誓って瞑目した。我身を引くより他はないとあきらめたアラベラが荷作りをしているとき、ジョルジュが大佐と共にかけつけて彼女を呼んだ。男の声で許されたことを知ったアラベラが二階からかけ下りようとしたせつ那、銃声一発、胸板を射ちぬかれて彼女はジョルジュの腕に倒れた。リュシアンが死んだので逆上したエヴリンが放った弾丸であった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- レオニード・モギー
- 脚本
- レオニード・モギー
- ジャック・レミー
- ベルナール・ボルドリー
- 脚色
- レオニード・モギー
- ジャック・レミー
- ベルナール・ボルドリー
- 原作
- ピエール・ブノア
- 台詞
- ロジェ・ヴィトラック
- 製作
- レイモンド・ボルデリー
- 撮影
- ニコラ・エイエ
- セット
- ルネ・ルヌー
- メネシエ
- 作曲
- ジョセフ・コスマ