無名戦士

解説

「白魔」「ロベルト」のイワン・モジューヒンが、「トロイカ(1930)」のストリジェフスキー監督の下に主演する映画で、「白魔」のアレクサンドル・ヴォルコフが総指揮に当っている。脚本はジャン・ルーカックが執筆したもので撮影には「白魔」「ロベルト」と同じくニコライ・トポルコフが当っている。助演者は「巌窟王(1928)」のジャン・アンジェロ、「大統領」のシュジ・ヴェルノンを始め、「巴里の屋根の下」のビル・ボケッツ、ニコール・ド・ルーヴ、クールトア、等の人々である。

1931年製作/フランス
原題または英題:Le Sergeant X

ストーリー

ここは男一匹を生ける屍と砂に埋めるモロッコの外国人部隊、朝夕の哀愁をこめて鳴り響く喇叭の音に整列するのは祖国を喰いつめたフランス兵。家を傷つけたイギリス青年、故郷を失ったロシア貴族等、いわば人生からの逃避者である。その群に一人のロシア人、革命に家を失い、妻子と別れた身の末は、何時か流れた北アフリカ。焼つく砂に愛妻、愛児の幻を描きながら、彼は寂しくも昔華やかな己の士官姿を夢みていた。そうした生活のある日、この要塞に到着した新任司令官の一家族、嫋やかなに美しい妻といたいけな幼児。その彼等を一目見た時。この無名のロシア軍曹はあっ!と叫んだ。--妻だ、児だ!が、今は名乗りも出来ぬ司令官の妻であり、児であり、しかも他目にも幸福な彼等だった。無名戦士の悩みの数ヶ月は過ぎて行った時、アラブ族の襲撃に、要塞は命と頼む水槽を破壊された。自分の命に未練はない軍曹ではあったが、水を求めて泣き叫ぶ吾が幼児の為に彼は要塞を脱出した。そして、水を求めての帰路、不幸敵兵の為に捕われの身となったが、かつて彼が救った原住民娘の為に救われることとなった。そして、彼は傷つきながら、他の要塞に援兵を求めて走った。その勇敢なる働きによって、要塞の人々は間一髪の危急を脱れることが出来たのである。その夜、軍曹は司令官の前に、彼の素性を、彼の過去を曝け出した。たしかに死亡した筈の「彼」を見詰める妻の夫!二人の男は、しかし互いに愛する妻と幼児の為に無言の規約を結んだ。そして傷ついた司令官の祖国への出立の日。夫に、父に見送られるとは夢にも知らず駱駝の背にゆられながら沈む夕陽に向って行く妻と子、その姿をいつまでもいつまでも見送る「彼」その目には熱い涙が光っていたのである。

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