「悪事が転じて生き延びてしまった少年の数奇なライフタイム」とらんぷ譚 osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
悪事が転じて生き延びてしまった少年の数奇なライフタイム
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う〜ん。上手い!
殆どギトリのモノローグだけで、ストーリーは進んでくが、あれよあれよとスクリューボール的に話は展開していき、あっという間にラストを迎える。オチも洒脱。
日本でいえば、まるで落語の小噺(に、しては全編トータル81分だけど)
ストーリーテリングの巧さと言ってしまえば、それまでだが、編集も絶妙なので(一人だけ毒キノコを食べず生き残った時のジャンプカットとか、髭を伸ばしていた青年時の主人公がシェーヴィングを終えると中年になってるとか)
主人公の回想が、全く途切れることなく、殆ど一本調子(フランス語特有)なのに、どういうわけか飽きさせず、半ば強制的に引き込まれ、最後まで目が離せない。
これは編集の冴えもあるが、やはりギトリ自身の語り口が巧みで、次から次へと展開していく数奇な人生に、一体どんなオチが?と、ホント落語のようだ。
元々、自分で書いた小説が原作となっているので勘所も良く分かっているのだろう。
オーソン・ウェルズも、これに影響を受けて『市民ケーン』を作ったらしいが、1936年に、こんなの作ってしまったら、そりゃ皆んな影響を受けるに決まってる。
しかし傑作中の傑作というのは、チョット言い過ぎ。
あのラストは勿論、オープニングでのタイトルやスタッフ紹介も洒脱ではあるが、本編の方に、特に目の醒めるようなショットがある訳でもない。
ルビッチ好きには、お薦めだが、トリュフォーやゴダールなどが絶賛しているからといって、ヌーヴェルヴァーグ的な斬新さは期待しない方がいい。
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