栄光の道
解説
「戦いの前夜」に先んじて作られたマルセル・レルビエ監督作品で、「桃源郷」「あかつき」のケーテ・フォン・ナギと「外人部隊(1933)」「モスコウの一夜」のピエール・リシャール・ウィルムが主演する。原作はピエール・フロンデェの未発表の小説で、レルビエ自ら脚色に当たり、台詞は「桃源郷」フランス語版を書いたセルジュ・ヴェベルが書いた。キャメラは「はだかの女王」と同じくミシェル・ケルベとルイ・ネが担当、音楽はマリウス・フランソワ・ガイヤールの担当である。監督助手は「戦いの前夜」同様エヴ・フランシスが任じた。助演は「嘆きのピエロ」「春来りなば」のジャック・カトラン、「家なき児(1935)」のエーメ・クラリオン、「戦いの前夜」のピエール・ルノワール、かつて「雪崩」の子役を勤めたジャン・フォーレ、キッサ・クープリーヌ、ジャン・ゴーベ等の面々である。
1935年製作/フランス
原題または英題:La Route Imperiale
ストーリー
イギリス陸軍省諜報部付のフォーブス中尉は、知り合いだったクルド人のアルグンがイギリスに反旗を翻した為に、軍法会議にかけられたが証拠不充分で無罪放免となった。少しでも疑われた事を堪えられぬ恥辱と考える中尉は、乞うて本名のブレント中尉の名に復し、バグダット連隊付きを志願して、アルグンが立てこもるクスール攻略の軍に加わった。ブレント中尉は諜報部在勤中はフォーブス中尉であった事を、連隊長スターク大佐に頼んで人々には秘密にして貰った。中尉が連隊に着任した晩は、連隊がいよいよクスール攻撃に出発する宵であった。その門出の祝宴の席で中尉はスターク大佐の年若い夫人ジョイスに紹介された。彼女こそは中尉が三年前諜報部付きとなる迄は恋を語らったひとではないか。一死以て名誉回復を心に誓った中尉は、愛人が人妻となっているのを知っていよいよ命を捨てようと決意した。クスール近くの野営地で、大佐は城砦内の情報を偵察する決死の勇士を求めた。ジョイスの兄のグラント中尉、ドレイク中尉も志願したが、大任はブレント中尉が勤める事となった。決死の偵察に赴く中尉に別れの言葉を、と望んだジョイスは侍女アリアを遣わして中尉を呼び迎えた。現地の服装をした中尉は歩哨に怪しまれて発砲され、中尉はジョイスの私室に隠れた。しかもアリアが間蝶である事実が判明したので、用心深い連隊副官ハドスン少佐はジョイスの住む塔を包囲させた為に、ブレント中尉は偵察に赴く事が出来ない。夫人の品行が疑われてはならぬからだ。其の時妹の許を訪れたグラント中尉は代わりに偵察に赴き、傷ついたが偵察に成功して帰った。漸く己が天幕に逃げ帰ったブレント中尉は責任上自決しようとしたが遮られ、大佐の前に呼び出された。夫人の名誉を守るべく中尉は甘んじて裏切り者となり、大佐から銃殺を宣告された。夫人はそれを知って事実を打ち明け、銃殺を中止させた。其の時アルゲンの土兵が逆襲して来た。グラント中尉は部下を率いて間道から砦に進んだが、既にブレント中尉が先廻りをして弾薬庫を爆破しアルゲンを仕止めていた。そしてブレント中尉は砦の塔にイギリス国旗を掲げた。戦闘中敵弾を受けたスターク大佐は、旗を見上げて微笑しつつ息絶えたのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マルセル・レルビエ
- 脚色
- マルセル・レルビエ
- 原作
- ピエール・フロンデェ
- 台詞
- セルジュ・ヴェベル
- 撮影
- ミシェル・ケルベ
- ルイ・ネ
- 音楽
- マリウス・フランソワ・ガイヤール
- 助監督
- エブ・フランシス
- Saint Leonard