噫無情(1925)

解説

ヴィクトル・ユーゴーの傑作『レ・ミゼラブル』を映画化したものでシネロマン社製作のフィルム・ド・フランス一九二五年度特作品である。大正十一年に上映された「自由の魂」と同じくアンリ・フェスクール氏が脚色監督し主役ジャン・ヴァルジャンには国立劇場オデオン座の腕利き俳優ガブルエル・ガブリオ氏が扮し、成長後のコゼット及びファンティーヌは「氷島の漁夫」出演のサンドラ・ミロワノフ夫人が演じ分け、「自由の魂」出演のジャン・トゥールー氏、ポール・ギデ氏、フランソワ・ロゼエ氏、ルネ・カルル夫人、ジョルジュ・サイヤール氏、ニヴェット・サイヤール嬢等が助演している。因みに本映画はフランスに於いては四篇二十四巻の連続映画として公開されているが、ユニヴァーサル社配給の分は二篇二十二巻に編集してある。無声。

1925年製作/フランス
原題または英題:Les Miserables

ストーリー

一塊のパンを盗んだ為に投獄されたジャン・ヴァルジャンは罪を増して十九年の長日月を囹圄の人として送った。出獄後の彼は前科者の名故に五尺の身の置きどころも無く、人の世の無情を呪ったがディーヌの町の僧正とミリエルの崇高な訓えを受けて始めて人間愛に目醒め、僧正の精神を無情の世に行おうと心を決めた。彼は名もマドレンと改め一工場町の市長に推され町の人々に敬愛される身となった。唯だ役人ジャヴェールの猜疑深い眼は絶えず彼の身辺を離れなかった。工場に働くファンティーヌという女は恋人に棄てられ、産み落とした女児コゼットをテナルディエという旅篭屋に里子に遭ったが、強欲なテナルディエは約束以外の送金を迫るので、ファンティーヌは愛児故に淪落の生活に陥らねばならなかった。運命は彼女に苛酷であった。彼女がマドレンに救われた時には彼女の身体は既に健康ではなかった。しかもマドレンの素性が暴露されるやファンティーヌは驚愕の余り世を去った。ジャン・ヴァルジャンは彼女の遺児コゼットを引き取りパリの尼院に世を忍んだ。かくて数年テナルディエ一家もパリの陋巷に移住して良からぬ業をして暮らしていた。その娘エポニーヌは隣に住む青年志士マリウスに恋していた。或日テナルディエを慰問した老人と少女とがあった。それはジャン・ヴァルジャンと知ったテナルディエが恐喝しようとしたのをマリウスが救った。マリウスは成人した美しいコゼットと恋を語るようになったが、折柄パリは動乱の巷となり志士マリウスは奮起した。彼が重傷を被った時ジャン・ヴァルジャンは名門の子であるマリウスを其の父祖の家に担ぎ込んだ。かくて乱静まりマリウスの傷も癒え白髪のジャン・ヴァルジャンはコゼットとマリウスを我が児の如く慈しんだ。

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