男たちの挽歌のレビュー・感想・評価
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ジャッキー・チェンのライバルは?
1980年代ジャッキー・チェン全盛期のライバルといえば、ユン・ピョウ?サモ・ハン?否、それはこの作品「男たちの挽歌」!カンフーもユーモラスもありません。あらすじは、裏社会に生きる男達の友情と兄弟愛、以上です。では何故、映画.comのALLTIME BEST1200に選出されたのか?それは、ジョン・ウー監督が創る映像美と演出、主演チョウ・ユンファの放つ大人の男の色気!今や、映画や漫画で当たり前のスタイル「ロングコートに二丁拳銃」その先駆者はユンファが演じる主人公のマーク。裏社会の物語には似つかわしくないはずの「平和の象徴」白い鳩は、男たちを引き立てる。激しく美しいガンアクションは、ジョン・ウィックさえも逃げ出す程のド迫力!正にハードボイルドの代名詞的作品です。あっという間に引き込まれ、続編も観たくなる事間違い無しです!因みに、主人公の使う拳銃ベレッタは装弾数10発前後。何十連発も撃ってるのは、ご愛嬌。
なにかを犠牲に何かを得ようとするキャラクター、そして編集が印象的。
○作品全体
キャラクター(俳優)を見せたい、という表現は色々ある。そのキャラクターを画面に映す時間を増やすというのもそうだし、そのキャラクターを様々な舞台に配置するのもそうだ。音楽で演出することもできるし、特徴的なカメラワークで魅せることもできる。
本作は、メインキャラクターを見せるための編集が印象的。シーンとシーンのつなぎ目を省略することで、キャラクターの所作にフォーカスを向けさせる。そういった意図を感じた。
序盤で印象的だったのはホーが父に会いに行くシーン。キットと父のいる病院で合流し、キットの彼女も交えて談笑する。そこはコメディとも言えるくらい陽気で明るい空間だが、カットを割ってホーと父だけのシーンになると一転、悲しげなBGMとともにホーの生業に釘を刺す父。カットごとのテンションのアップダウンが激しすぎて驚いたが、ホーのもつ「親しみある兄」という顔と「極道に生きる男」という二面性を強調することもできる。
ドラマを描く、という視点からすると、間に心象風景を挿入したり、ホーの感情のグラデーションを作る緩衝材のようなカットを挟んでも良いのではないか、と感じるが、キャラクターを描く、という意味では強い印象を残す演出だった。
マークに関してはもっとエッジが効いていた。ホーの仇討ちをしたあとから3年間、マークがなにを考えていたのか、という部分に関しては画面内では映すこともなく、ホーに「待っていた」と告げるのみ。ホーの「取り戻したい」という感情だけを鋭利に研ぎ澄ましたように、カメラもその姿だけを映し続ける徹底さが面白い。
たばこを加える仕草、ホーを見つめる目、足を引きずるシルエット。こうした所作をどれだけ魅力的に見せるか。そのためにあるシナリオ、そして編集だったと思う。
ホーもマークも、そしてキットも、なにかを失ってなにかを得ようと足掻く「男たち」だ。この作品自体もシーンとシーンとの「間」を犠牲にする代わりに、キャラクターの魅力を際立たせる。それぞれが失うことを選んだ決断と一本気なスタンスが、まさしくハードボイルド。そんな作品だった。
○カメラワークとか
・マークがホーのかたきを討つために楓林閣へ乗り込むシーンがかっこよかった。ゆっくりとドアを開けて現れるサングラス姿のマーク。その空間に馴染まない姿が、ゆっくりと浮かび上がってくるような黒の姿がとても良い。
本作は銃撃戦のスローモーションよりも人が現れる、いなくなるときのスローモーションが一番かっこいい。シンがホーと口論して、シンと会うのが最後になるシーンとか。
・マークがフィルムを奪いに行くシーンの冒頭は地下駐車場のど真ん中をゆっくりと歩いていくシーンから。ここのシーンだけは明確にシーンとシーンの「間」があった。マークへの花道を作ってあげているような感覚。
○その他
・どうしてもいろんなところに古さを感じてしまう。かっこいい古さであれば良いんだけど、シンセっぽいBGMとかはむしろトレンディっぽくて、世界観が軽くなってしまう印象。序盤の関係性を示すシーンも作為的な芝居やセリフが多いのもそう。
・終盤、マークがボートに乗って引き返してくるところが一番好きだ。一人逃れたところでマークの臨む「取り戻す」は取り戻せない。そう気づくまでの時間と、気づいた後の腹をくくった表情。マークというキャラクターに踏み込んだ芝居だった。
・2丁拳銃かっこいいなあ。チョウ・ユンファのポージングもかっこいい。黒の外套、黒のサングラスとの相性もいい。
カンフー映画に通じる熱いベタな映画
弟の彼女がいらない
リアリティは、あるのだが…
「香港映画の歴史を変える」「我が国はカンフーだけではない」
…という振れこみで出た映画だが、自分的には大してスケールの
デカい作品では、なかった…
確かにカンフーではなく、ガンアクションで描くならば、香港映画に
一石を投じる結果にはなったが、この映画単独で「たいそうな物」に
なったかどうか…?
ブルースリー、ジャッキーチェンの映画では、敵は「謎の組織」
「悪の秘密結社」な感じが多いが、これは香港街の闇を描いた
だけであって、偽札を大量に作る反社会組織が敵という
リアリティある世界観で有るのは認める
しかしながらガンアクションとして見れば、後に出るハリウッドの
マシンガン乱射の物に比べれば劣るし、ヒューマンドラマとしても
さほど深い物は無い
最後はネタバレになるので、詳しくは書けないが、何か
「兄弟愛」みないた、気持ち悪い感じで終わる
兄弟映画
香港ノスタルジー
仁義男らしく
その後の香港映画の歴史を変えた記念碑的作品、ぜひご鑑賞ください。
『男たちの挽歌』(1986)
「午前十時の映画祭14」にて4Kリマスターで初の劇場鑑賞。
何といっても本作は邦題が良いですよね。
中国語では「英雄本色」。
英題は「A Better Tomorrow」で「より良い明日を」。
これを「鎮魂歌」「レクイエム」でもなく「挽歌」に決定した当日の配給会社の人は素晴らしいですね。
同年ゲームの世界でもカプコンから『闘いの挽歌』という横スクロールアクションゲームもリリースされて子どもながらに馴染み深いワードでした。
1986年の公開当時は香港映画といえばジャッキー・チェンのカンフー映画かMr.BOO!のコメディ映画の二択のなか、「香港ノワール」と呼ばれるジャンルを創出、確立した記念碑的作品で、派手なアクションもありながら、男の友情と任侠を織り交ぜたストーリーは今回の鑑賞でもまんまと泣かされましたね。
男の悲哀を全身で表現するチョウ・ユンファ、ティ・ロン、レスリー・チャンも出演者も抜群に良いのですが、やはりジョン・ウー監督の冴えわたる演出。
フレンチ・ノワール、東映任侠映画をベースにしながら、銃撃戦はサム・ペキンパー、セルジオ・レオーネの多大なる影響を受けたスローモーションなどの演出は40年近く経っても痺れました。
本作の成功したことで、その後のジョニー・トー監督作品、『インファナル・アフェア』の端緒となったことを考えると感慨深いですね。
昭和...
もうムショは懲りたよ
こないだ午前10時の映画祭で鑑賞してきました🎬
ティ・ロン演じるホーは裏社会で一目置かれる存在になっていたが、レスリー・チャン演じる弟キットのために足を洗う事を決意。
チョウ・ユンファ演じるマークを残して最後の取引に向かうが、罠にハマり服役するはめに。
3年後、出所したホーはキットを訪ねるが…。
ティ・ロンは弟のために堅気になるも、裏社会の人間につきまとわれる悩める男を渋く演じてましたね🤔
チョウ・ユンファは、軽薄そうに見えながら義理堅い男マークを魅力たっぷりに熱演😀
2丁拳銃がよく似合ってます🫡
レスリー・チャンは兄の正体を知ってからは袂を分かって、無茶な捜査を行うようになる血気盛んな弟を勢いよく表現😀
正直俳優さんたちの演技に関しては微妙に感じる部分もありますが(チョウ・ユンファは別にしても)、見どころは男の友情とガンアクションですからね😎
私が言うまでもありませんが、この映画で香港ノワールというジャンルが確立されたのは大きいです👍
ジョン・ウー監督にツイ・ハークが製作という鉄壁の布陣で、当時大ヒットしたのも頷けますね🙂
あと、今じゃ考えられないほど喫煙シーンが多いです🚬
このジャンルが好きな方は是非🖐️
今日の初鑑賞
今年はよく「午前十時の映画祭」で旧作を見ています。見逃したままだったものは結構あるから、上映うれしいです。
前にもどこかで書いた気がしますが、「アマデウス」やってくれないかなー。
(午前十時~ではもうやったみたいなので、他の劇場で是非お願いします)
「男たちの挽歌」見てきました。
ジョン・ウー監督だったんですね。
「男たちの挽歌」「チョウ・ユンファ」だけセットで覚えておりました。あと、同じ時代で「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」も記憶の中でセットで出てきます。
香港マフィアの抗争が主で、兄弟の確執と絆を描いた話。
今見ると目新しさはないものの、終盤の戦いがやはり目が離せませんでしたね。やめてーと思ってても、やっぱり彼が殺られてしまった…。
もっとチョウ・ユンファが前面に出てくるのかと思っていました。つま楊枝(マッチ棒にも見える)をずっとくわえながらタバコを吸ってる人を初めて見ました。彼は笑顔が魅力的。レスリー・チャンは、この中ではアイドル的ルックスですね。人気あったのがわかります。
そして、ホー役のティ・ロンが、かまいたちの山内に似ている…と思い始めたら、そこから離れられなくなってしまいました(苦笑)
何十年ぶりかで鑑賞しました
昔、映画館で見たことがあるのですが、懐かしさと久々に香港ノワールでスカッとしたくなり鑑賞しました。(中国:英雄本色、英語:A Better Tomorrow)
ジョン・ウー監督作。今見ると粗さがあり、音楽が耳につくシーンもありますが、それでもやっぱりチョウ・ユンファとティ・ロンがめちゃくちゃ格好良かった。
そしてテーマ曲がいいですよねー。勇気が湧いてくるようでいて哀愁漂うこのテーマ曲を聴くだけで血が騒ぎます。
ティ・ロン演じるヤクザの幹部ホーとその弟分のチョウ・ユンファ演じるマークとの熱い絆。ホーと実弟で警察官になったレスリー・チャン演じるキットとの確執。
ラスト、銃の弾が切れたホーをあざ笑い俺は金の力ですぐ保釈されると嘯き自首しようとするシンに対し、自らの拳銃を兄ホーに渡すキット。
弟に手渡された拳銃でシンを撃つホー。
そしてキットから手錠を取り、自らの手で自分に手錠をかけるホー。
皮肉にもこれが兄と弟の和解のシーンなんですね。
よくできた結末です。
マークが銃弾に倒れたのは残念でしたが、続編では双子の弟役で再登場します。
チョウ・ユンファがいないと始まりませんからねー。
続編も熱かった記憶があるので、今作品が気に入った人は続編もぜひどうぞ。
ティ・ロンが日本刀を振り回します。
あと、番外編ですが「狼 男たちの挽歌・最終章」は必見ですよ。
ジョン・ウイックと比較するのは気の毒だよ
日本では昭和の終わり直前1986年の作品。ゴールデン・ハーベストで空手映画を撮っていたジョン・ウーがこれからは銃撃アクションだとカンフーに見切りをつけてつくった作品。カンフーは前半部分でティ・ロンとレスリー・チャンの兄弟がふざけあってる部分ぐらいにしか出てこない。後は基本、銃撃戦。ただ後年のジョン・ウー節ともいうべきアクションの切れ味レベルにはまだなかなか届いていない。西部劇と日本のTVドラマの影響が随所に見受けられる。要するにいろんなところから勉強中の発展途上。
ドラマの方ですが、これは中国任侠映画の伝統的テーマであるところの兄弟ものですね。兄弟のきずなの強さが描かれる。前述の2人の兄弟に加えて、ティ・ロンとチョウ・ユンファのいわば義兄弟のきずなも描かれるので、二重の兄弟ものであるといえる。香港ノワールとかいっても、精神的にはカンフー映画の流れをまだまだ引きずっているんですね。
一つ着目すべき点は結末で、最後に死ぬのが主役のティ・ロンでなくチョウ・ユンファであるところ。ハッピーに生き残るのではなく英雄的、かつ悲劇的最期を遂げるということで新しいタイプのヒーローを演出している、そしてそれが当時、売り出し中だったチョウ・ユンファに当てたというところがニューウェーブだったのかもね。
ジョン・ウイックと比較する評価もあるようだが、時代が全く違うのでそれは気の毒っていうものですよ。
伝説となった香港ノワールの傑作
いつ見るか
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