ピカデリィ

解説

「ヴァリエテ(1925)」「ムーラン・ルージュ」と同じくE・A・デュポン氏が監督したものでイギリスの著名な小説家アーノルド・ベネット氏がデュポン氏のために特にストーリーを書き下ろし特別に字幕まで執筆している。主演者は「南海のアロマ」「悪魔の踊り子」のギルタ・グレイ嬢、「追放の女」「スエズの東」のアンナ・メイ・ウォン嬢及びイギリス映画界の名優ジェームソン・トーマス氏の三人で、他にハンナ・ジョーンズ嬢、シリル・リチャード氏、キン・ホー・チャン氏等が助演している。キャメラは「ムーラン・ルージュ」と同じくウェルナー・ブランデス氏が担任。ドイツ人の監督が、英、米、中の俳優を駆使して製作した国際的映画。(無声)

1929年製作/イギリス
原題または英題:Piccadilly

ストーリー

夜ひらけば花咲くロンドンの歓楽境ピカデリーには数多のナイトクラブがあった。踊り子メーベルは魅惑的な踊りと美貌とでその一つにロンドン中の人気を集めていたが、クラブの持ち主ヴァレンティン・ウィルモットがメーベルの踊り相手を解雇したとから、メーベルがヴァレンティンの寵い者であることが知れ人気はめっきり減ってしまった。そこでヴァレンティンは料理場に使っていた中国娘ショウショウを拾い上げ、これを美しく粧わせてメーベルの代わりをつとめさせた。所がこれが当たって再び客足は盛んになった。自然ヴァレンティンはショウショウに目をかけてやることが多くなって行った。これをこころよく思わないメーベルはヴァレンティンが中国娘を愛して自分を棄てるのではないかと邪推し怪しく心のふるえるのを止めることが出来なかった。そしてついに彼女は中国娘を訪れヴァレンティンと手を切ってくれと頼んだ。しかし今はヴァレンティンに愛を感じて来たショウショウはいやだと断った。その晩、中国娘は殺害された。人々の疑いはメーベルに集まった。だかメーベルは飽くまでも凶行を否認した。取調はすすんだ。すると意外な方面から真犯人が現れた。それはかねてショウショウを恋していた中国の若者ジムだった。ジムは彼女とヴァレンティンの関係を知り彼女を殺し捕らわれる前に自殺したのであった。迷宮に入りかけた事件もここに解決しメーベルにかけられた嫌疑は晴れたのであった。

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