劇場公開日 2024年3月22日

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「どうしてこんなに面白いんだろう?!」続・夕陽のガンマン 地獄の決斗 Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0どうしてこんなに面白いんだろう?!

2024年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

1968年7月14日、この日「続夕陽のガンマン」と「サムライ」を観なかったら、私は50年以上映画ファンであり続ける事はなかったかも知れない。自分史の中でそういう位置を占めているのだ。

4月10日(水) 新宿ピカデリーで「続夕陽のガンマン 地獄の決斗」(4K)を。
英題は「The good,The bad,and The ugly」
The good(ブロンディ)はクリント・イーストウッド、The bad(エンジェル・アイズ)はリー・バン・クリーフ、The ugly(テュコ)はイーライ・ウォラックである。

まず、この映画を面白くしているのはイーライ・ウォラックの存在である。悪党なのに憎めない、笑わせてくれる愛すべき(?)キャラクターを演じている。
1968年にこの映画を観た時の字幕は高瀬鎮夫氏である。氏は、当時多くの映画字幕を担当していて、コロンビア映画は大田国夫、ヨーロッパ映画は清水俊二、残りのアメリカ映画は高瀬鎮夫というのが当時の私のイメージであった(実際、現在とは公開本数が違うとはいえ、全盛期には公開映画の7割を高瀬氏が担当したと言われている)。
氏の字幕は意訳が多いのだが、本作で氏が付けた字幕がThe ugly=イジけた野郎、である。善玉、悪玉、卑劣漢などのありきたりの訳でないのが良かったね。(今回の字幕は善玉、悪玉、卑劣漢だった)
ちなみにThe good=ちょっとイイ男、The bad=グッと悪い男、であった。

映画の冒頭でテュコを襲った3人組の一人が生き残って、映画の中盤でテュコを発見して入浴中に襲って来るが、圧倒的優位な態勢なのに能書き垂れ過ぎてテュコに射殺される。敵を倒したテュコ曰く「ムダに喋っているヒマがあったら撃て」ゴルゴ13か、お前は。
銃器店で銃を選ぶ時も、複数の銃を分解してバレルとシリンダーの最良の組合わせを選ぶこだわりをみせる(銃はレミントン・ネービーリボルバー)。そして試射、テュコは射撃の腕前も凄い所を見せる。こういった所を丁寧に描いているから上映時間が長くなるのだ。
テュコは橋を爆破に行く前に銃に弾込めをしている。(これがラストの決斗の伏線になっている)

再三、南軍、北軍の負傷した兵士の姿が捉えられる。橋を爆破する事によって橋を巡って戦闘していた両軍を撤退させて死傷者をこれ以上出さないと言う大義のもと(オッペンハイマーみたい)にブロンディとテュコは橋を爆破する。(本当は金貨の隠し場所に近づくためなんだけど)
この橋の爆破シーン、カメラを回す前に爆薬のスイッチを押して爆破してしまい、スペイン軍が急遽橋を架け直してから撮影したと言うのを後で知った。
橋を爆破した後、二人は朝まで塹壕でじっとしている。ブロンディはテュコを蹴り起こす(これもラストの伏線の一つだ)。
川を超えた所で重症の南軍兵士に出会い、ブロンディは葉巻を吸わせてやると兵士は事切れる。ブロンディは自分のコートを掛けてやり、変わりにそこにあるポンチョを持ち帰る。(これがクリントのポンチョスタイルの原点となる)

クリント・イーストウッドは、西部劇の時にいつも同じホルスター(ガンベルト)を使っている。「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」と同じホルスターを「続夕陽のガンマン」でも使っている。(確か「シノーラ」でも使っていた)
だが、本当はこれはおかしいのだ。何故なら前2作では使っている銃が(多分)コルト・ピースメーカーだが、「続夕陽のガンマン」ではレミントン・アーミーリボルバーなので、バレル(銃身)の長さも違うためホルスターは違って当然なのである(早撃ち出来ないよ)。また、銃の種類が違ってもグリップは同じ銀の蛇が蜷局を巻いた物を使っている。閑話休題。

いよいよサッドヒルの墓場に埋められた金貨の行方をめぐるラストの西部劇史上初のトライアングルの地獄の決斗である。
エンニオ・モリコーネの音楽も冴える。
3人の顔のアップ、いや、眼だけのアップ、銃に近づく手の、指のアップ。指は銃に近づく、止まる、戻る、また近づく。
遂に銃は抜かれ、火を吹く…。

ラストにもう一度各自のアップに字幕が重なる。The ugly=イジけた野郎、The bad=バカを見た男、The good=グンとイイ男、であった。(あ、高瀬鎮夫版です。今回は善玉、悪玉、卑劣漢でした。つまんねえ訳だ)

何本もマカロニウエスタンを観たが、この作品の右に出るものはない。タランティーノが気に入る訳だ。
人間には2種類いる。映画を作る奴とそれを観る奴だ。

おまけ
この映画を気に入った方には、ドキュメンタリー映画「サッドヒルを掘り返せ」を観る事をお勧めする。サッドヒルにクリント・イーストウッドが登場するシーンは胸アツである。

Mr.C.B.2
talismanさんのコメント
2024年4月22日

「リオ・ブラボー」見ました!面白かったです!発見もあってとても新鮮でした。勧めてくださってありがとうございます!

talisman
りかさんのコメント
2024年4月16日

こんばんは♪
『ちひろさん』に共感ありがとうございました😊
つかみどころのない人物でした。母親のお葬式に出ない、どんな暮らしをしていたのかと思います。
でも元気に生きてる、ですね。

りか
talismanさんのコメント
2024年4月16日

早速のコメントありがとうございます!そうなんですかー!「瞳をとじて」が早稲田松竹とか新・文芸座にくるの待ってみます。まずは「リオ・ブラボー」!

talisman
talismanさんのコメント
2024年4月16日

コメントありがとうございます。「リオ・ブラボー」知りません、まだ見てません。1週間以内で渋谷宮下行けるかも!「瞳をとじて」見てません、情報ありがとうございます!

talisman
トミーさんのコメント
2024年4月15日

「殺しが静かにやって来る」について教えていただきありがとうございます。
バッドエンドで有名みたいですね、あとモーゼル、演じてるのがトランティ二ャン。
マカロニ、西部劇自体あまり観てないのですが、「続・夕陽の・・」は傑作と思いました。「続・荒野の用心棒」と「女ガンマン皆殺しのメロディ」だけはDVD持ってます。

トミー
りかさんのコメント
2024年4月15日

こんばんは♪コメントいただきましてありがとうございました😊
教えていただいたセリフ覚えていますが、ちょっとウロ覚え、でした。ご紹介の作品はドキュメンタリーなのですね。映像時のように
戻す作業でしょうか。しかし、
あの墓地が作り物ということですが、スタッフの作業が大変だったでしょうね。観ながら思ってました。機会があれば観てみたいです
ありがとうございました😊

りか
Mr.C.B.2さんのコメント
2024年4月15日

橋を爆破する前に言ったのは「こんなに大勢が犬死にか」です。
あのサッドヒルの墓場は撮影のために作ったもので、南北戦争で何千人も死んだ事を表しているそうです。あの墓場がどうなったかはレビューに書いた映画「サッドヒルを掘り返せ」をご覧ください。

Mr.C.B.2
りかさんのコメント
2024年4月15日

詳しいレビューをありがとうございます😊
翻訳家が違うと印象がだいぶ変わりますね。ただアンディさんも書いてられますが、ブロンディも良The goodではないですね。
イーストウッドさん、金髪に見えないですが。スペインロケだったのですね。

りか
アンディ・ロビンソンさんのコメント
2024年4月14日

「いい奴、汚ねえ奴、悪い奴」と題しておきながら、その実、なんだかんだ言って結局は“皆んな悪いやつ”だったりという、人間の持つ矛盾や多面性を描き出しているところのストーリーが秀逸ですね。
ヨーロッパ映画ならではに思えます。
3人の呼び名についても、明らかに本名と思えるのはテュコだけで、
エンジェル・アイズなんてどう考えても仇名(通り名)だし、ブロンディ=金髪(ちゃん?野郎?)って感じ?

アンディ・ロビンソン
りかさんのコメント
2024年4月14日

こんばんは共感コメントいただきありがとうございます😊
レビュー読む前に、メッセージとは、イーストウッドが、兵士が戦いに行く様子を見て、「大勢が命を落とすのか。」のセリフが橋を爆破する前に言っていた言葉?でしたか?教えてくださいね。

りか
トミーさんのコメント
2024年4月13日

共感ありがとうございます。
若い兵士とか酒に紛らす大尉とか度々出て来る不具者とか、戦争ヘの批判の目も感じられますね。

トミー
トミーさんのコメント
2024年4月12日

そうか! 息絶えた若い兵士の所から取っていったんですね。急に続編感が出たのでちょっと驚きました。

トミー
Mさんのコメント
2024年4月11日

「夕陽のガンマン」の続きと思って見始めたら、違っていて、少し戸惑いました。
この3部作。私は今年、初めて見たのですが、おもしろかったです!
この作品に関しては、橋のシーンからが特におもしろく見ることができました。
3作とも見終わった後に「映画を見た!」という気持ちになりました。(まあ、実際に映画を見たわけではありますが・・映画の)

M
talismanさんのコメント
2024年4月11日

おー!超かっこいいレビュー!

talisman