氷の大陸
劇場公開日:1958年7月19日
解説
世界地球観測年の活動の一環として、一九五五年から五七年にかけてソヴィエトが行った、南極学術調査の記録映画。第一部原名「万年氷地帯にて」は、記録映画中央スタジオで、ネガ編集、録音が行われ、赤旗勲章を受賞している。第二部原名「南極の沿岸にて」は、モスコー文化映画製作所で編集録音され、製作された。第一部は台本・監督・撮影V・エシューリン。第二部は台本・監督G・ニフォントフ、撮影はA・エゾーフ。日本公開は、この二篇を一挙に上映する。日本語版は、解説木津川辰雄(NHK)、音楽俣賀秀実、効果角田陽次郎。日本版では一部が「オビ号の冒険」、二部が「南極の奇蹟」と題されている。
1957年製作/ソ連
原題または英題:The Sixth Continent
劇場公開日:1958年7月19日
ストーリー
ソヴィエト南極探検隊の旗艦「オビ号」は、ディーゼル、電気モーターを持ち、強力な砕氷能力をもっている。探検隊は神秘の“第六の大陸”南極を調査探検しようとするもので、隊長はエム・エム・ソーモフ(地理学博士)で、オビ号船長はマーン氏である。出航した船は大西洋から印度洋にさしかかる頃、地図の不正確な進路と接岸地帯を検討する。防寒家屋の組立も行われている。正月二日、最初の氷山にぶつかった。「オビ号」は氷山地帯に突入する。浮氷域に近づくとヘリコプターの整備が始まる。隊員が安全な氷原に上陸するために、船は出来るだけ接岸する。そのためには竪氷の中に突っ込まねばならぬ。祖国を出て一九〇〇〇キロ、オビ号はデポー港の竪氷の近くに停泊したが、荷卸し条件と荷物積換えが困難なため、他に基地を求めること数十日、ハストエル島に飛行着陸して測量の結果、基地をここに決定する。細心の注意と迅速さで氷上に通路がつくられた。一カ月後姉妹船「レナ号」が到着、船長はヴェートロフ氏。危険な氷上に無限軌道をもつトラクターが建築材料をつんで行動する。このとき氷がわれ、トラクターは運転手イワンをのせたまま“氷の墓”へ吸いこまれた。貴い犠牲である。イワンの死を越えてソヴィエトの南極基地は建設されてゆく。多数の学者たちも作業を手伝う。この「ミールヌイ基地」にオーストラリアの学者が訪問、その規模の大きさを讃嘆する。基地建設物の土台はすべて金属で作られ、極地の湿気や気温に耐えられるあらゆる設備がなされている。ここで学者たちの研究がはじめられ、地理学者コロウケーヴィッチ氏は数十種の地衣と苔を集めた。基地には電波探知器が設けられ、海洋、気象調査が行われる。飛行機は氷の大陸中の謎の一つであるバンゲルのオアシスを目標に調査する。探検隊員はヘリコプターでオーストラリア船の停泊地を訪問、種種の意見を交換する。オビ号もオーストラリアの研究所のあるマックオリ島を訪ねたり、ニュージーランドを訪れたりして楽しい交歓を行う。南極の周囲には地図にない小さな島島が無数にあり、大陸の氷河は一昼夜に一メートルの速度で大地に圧迫を加え、氷河は沿岸からさらに大河に向って進む。こうした地質を調べるのも大きな仕事だ。海生物には海綿、ウニ、カニ、ヒトデ等や、水棲陰花植物がある。こうして、ソヴィエトの南極探検隊ははげしい試練や危険な目にあいながらも、種種の調査をなしとげた。だがそれはまだ「第六の大陸」に対する研究の序の口である。あらゆる悪条件をのり越えて、ソヴィエトの調査隊は目的に向って進んで行く。
スタッフ・キャスト
- 監督
- V・エシューリン
- G・ニフォントフ
- 脚本
- V・エシューリン
- G・ニフォントフ
- 台詞
- B. Agapova
- 撮影
- V・エシューリン
- A・エゾーフ
- E. Ezov
- 第一部製作スタジオ
- 記録映画中央スタジオ
- 第二部製作スタジオ
- モスコー文化映画製作所
- 日本語解説
- 木津川辰雄
- 監修
- D. I. Sherbakov
- B. A. Arsenev
- P. Belokurov