女の獄舎

劇場公開日:

解説

「ヨーロッパの何処かで」のゲザ・フォン・ラドヴァニが一九五〇年に監督した作品で、女だけの強制収容所を社会的に描く。脚本はラドヴァニーと「デカメロン夜話」のゲザ・ヘルツェグ、「陽気なドン・カミロ」のルネ・バルジャヴェル及び「純愛」のリアナ・フェッリの四人が協力。撮影は「懐かしの日々」のガボール・ポガニー、音楽は「悪魔の美しさ」のロマン・ヴラドの担当。「快楽」のシモーヌ・シモン、「黒鷲」のヴァレンティナ・コルテーゼ「七つの大罪」のフランソワーズ・ロゼー、「荒野の抱擁」のヴィヴィ・ジョイ、「陽気なドン・カミロ」のジーノ・チェルヴィ、「自転車泥棒」のランベルト・マッジォラーニなどが出演する。今回輸入されたのはフランス語版である。

1950年製作/イタリア
原題または英題:Donne senza Nome
配給:東和=東映
劇場公開日:1954年11月9日

ストーリー

政治運動に従う夫が殺されたのち、身分証明書をもたぬユーゴスラヴィア女アンナ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)は国際警察に捕えられトリエステに近いイタリア東部の寒村にある女だけの収容所に入れられた。彼女はそのとき、すでに妊娠しており、生れてくる子供のためにもここを抜けだしたいと考えていた。フランス女イヴォンヌ(シモーヌ・シモン〉は、彼女に偽の旅券を入手してやると約束した。イヴォンヌは、収容所に出入りするアルバニア商人シュラヒンをろうらくして彼と結婚することに成功し、収容所を出ていった。ある日、頭のおかしいポーランド娘ヤンカが、ドイツ女ヒルダを見て突然あばれだした。ヒルダは戦争中ナチの命令で多数の女たちをあつめ、戦線へ慰安婦として送ったのだ。そして、ヤンカはその一人であった。事情を知って怒った一同はヒルダに青酸カリを無理矢理のませて自殺したことにした。その翌晩、ひどい雨のなかをヒルダの死体をのせたトラックが収容所を出ようとしたとき、アンナはそのトラックのなかに忍び込んだが忽ち警備兵に発見された。女たちはアンナを助けようと警備兵に飛びかかり雨中に大混乱がおこった。脱走は失敗におわった。収容所で演芸会が開かれ、所長以下が余興を楽しんでいるとき、舎内ではアンナが陣痛に苦しんでいた。丁度アンナの偽旅券をもってきたイヴォンヌは出産を秘密のうちに済まそうと女たちを促し、将兵の気を引くために余興を長びかせた。赤ん坊は無事生れた。その泣声が外にもれぬように、舎内の女たちは伯爵夫人(F・ロゼエ)のリードで合唱した。女たちの時ならぬ歌声を不審に思った班長ピエトロは舎内に入って全てを察した。アンナは一同の涙のうちに息をひきとった。ピエトロは、所長にこの子の父親は自分だといった。職を辞して子供と去るピエトロを、女たちは収容所の柵の中から見送っていた。

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