ダニエルとマリア

劇場公開日:

解説

ローマ近郊の美しい風景の中でくりひろげられるダニエルとマリアの悲しい恋を描く。製作はジュゼッペ・フランコーネ、カルロ・ポリクレッティ。監督は「鉄道員」「イタリア式離婚狂想曲」など数々の脚本を手がけたエンニオ・デ・コンチーニの第一回監督作品。脚本はコンチーニとダーナ・ウィルソン、マリア・ピア・フォスコが共同執筆、撮影はエンニオ・グァルニエリ、音楽はニコラ・ピオヴァーニが各々担当。出演はピーター・ファース、ジュニー・ベチュスト。

1972年製作/イタリア
原題または英題:Danieie E Maria
配給:ヘラルド
劇場公開日:1973年3月24日

ストーリー

ローマの政治家を父に持つ、恵まれた家庭に育ったダニエル(P・ファース)は、繊細で弱々しい神経の持主のため現実を切離した自分だけの世界にとじこもっては、好きな音楽に聴き浸るという日々をすごしていた。そんなある日、貧しげな身なりの美しい少女と会った。邸の召使いの娘マリア(J・ベチュスト)である。ダニエルにはマリアの面影が印象深く残り、その姿に接するたびに、彼女にだけは心を許すようになった。二人はお互いに愛しあうようになり、ダニエルの世界は少しづつ明るさを帯び、マリア以外の人にもうちとけるよにうなった。だが、マリアの義父カルロの誤解によって、ダニエルの両親の知るところとなった。驚ろいた両親はマリアを遠ざけた。それは二人にとってつらく悲しい日々だった。ある日、二人は再会したが、カルロに言葉巧みに酒をすすめられ、もうろうとした意識のうちにマリアのベッドに運ばれてしまった。翌朝、カルロは、金を持ってくることで二人の結婚を認めた。二人だけの結婚式。それはみすぼらしいものだったが幸福だった。だが二人の知らないうちに、カルロとダニエルの両親の間では、二人を別れさせ、マリアを他の男と結婚させる、という取引が成立していた。二人のママゴトのような生活の中に、両親が依頼した精神クリニックの看護人が入ってきて、ダニエルをクリニックに入れた。その頃、湖畔で催された結婚式には、陽気な音楽と人々の笑い声があふれていたが、ウエディングドレスのマリアだけは、暗い表情をしていた。彼女が無理矢理結婚させられた相手は、貧相な中年男だった。人々のざわめきが急に消えたとき、マリアの姿はなかった。湖の中に彼女の靴が片方浮かんでいるだけだった。その頃、ダニエルは誰にも聞こえない音楽に耳を澄ましながら、白い壁に向かって無心に腕を振っていた。

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