「アンジェイ・ワイダ監督の哀悼映画」すべて売り物 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
アンジェイ・ワイダ監督の哀悼映画
アンジェイ・ワイダ監督の『灰とダイヤモンド』で主演として心に突き刺さる姿を見せてくれたズビグニエフ・チブルスキが列車飛び乗り事故で死去したため、彼の生前の友人・恋人たちが「彼」を主演とする映画撮影を描いた映画。
アンジェイ・ワイダ監督の哀悼映画。
物語は、映画の撮影現場に主演俳優の「彼」がなかなか現れないため、スタッフらが他シーンを撮影しながら「彼」を待っていた。待っている映画人たちは、遊園地で遊んだりしているが「彼」は来ない。
「彼」の妻は、元カノ女優とドライブしていると、ラジオで「彼」の死亡事故ニュースを聞いて……という大枠の流れ。
そして、その物語の中に「入れ子構造」のように同様物語を撮影しているかたちになっていて、この多層構造は見事なものであった。
ただ、この映画は、①『灰とダイヤモンド』を観ていること、②その主演俳優=ズビグニエフ・チブルスキが列車事故で早逝したこと……を知っていることが前提となっているため、アンジェイ・ワイダ監督の私的な映画にも見えて、一般的には分かりづらい映画かも知れない。
それでも、遊園地で回る乗り物(→乗り物の名前が分からないww)の流れるような場面、馬の群れが疾走するシーンなどは、映像美のカメラワーク。
とても素晴らしい映画であった。
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