海の狼(1974)

解説

海に生きる男の暴力と死、人間性と非人間性をめぐる葛藤を描く海洋映画。製作はアーサー・コーンとウォルター・ウルブリッヒ、監督は「三文オペラ」のヴォルフガング・シュタウテ、脚本はウォルター・ウルブリッヒ、原作はジャック・ロンドン、撮影はアンドレ・ザラ、音楽はハンス・ポセガが各々担当。出演はエドワード・ミークス、ライモンド・ハームストロフ、ブァトリス・カードン、エメリッヒ・シェファー、ペーター・コックなど。

1974年製作/西ドイツ
原題または英題:The Seawolf

ストーリー

1903年、サンフランシスコ。バン・ワイデン(E・ミークス)は、裕福な家庭に育ったインテリ青年で文芸評論家を自認していた。ある霧の深い朝、彼はサンフランシスコ湾を横断するフェリーに乗るが、間もなく他の船と接触して爆沈。バン・ワイデンは、アザラシ猟をする帆船“幽霊号”に救われた。彼を助けたのは、その船のコックのマグリッジ(E・シェファー)達だ。今この船は、アザラシを追って南西、日本へと向かっていた。船長ラーセン(R・ハームストロフ)は、一種の暴君であり、バン・ワイデンがどこかの港への上陸をたのんでも、人手不足を理由に彼を航海の間、雇うという仕末。こんな船長にとりわけ反抗的なのが新入りのリーチ(P・コック)だった。ある日、バン・ワイデンの金がマグリッジに盗まれ、彼は船長に訴える。だが、船長はマグリッジに酒を飲ませた上で、カードをし、金を巻き上げてしまった。バン・ワイデンがいくら追っても、「これは自分の金だ」と主張するばかりであった。数日後、リーチ達が暴れだし、航海士が殺され、バン・ワイデンがこの職につかされる。船長にさからえぬまま、彼は自ら航海術を会得し、遂に1人前になった時、彼は初めて、大海原の魅力を知った。ある朝、船の行く手にウマ島の姿が見えた。この島は、バン・ワイデンにとっては夢の島であったが、寄港はしない。またある夜リーチ達は日本から600海里の所でボートで脱走する。船長は早速、追跡を開始するが、モード(B・カードン)という女性を含めた漂流者を発見するはめとなった。そして間もなく、リーチ達のボートも発見される。疲労困憊の彼ら。バン・ワイデンは彼らを助けるよう、船長にいうが、船長は首をタテにふらず、バン・ワイデンの怒りに、「おまえも頼もしくなった、俺を殺せるものなら殺せ」という。モードは船長に、船は横浜まで1日の距離だが、いつ上陸か、と聞くと、船長はアザラシ猟をしてからだから3、4ヵ月後になると答えた。そして間もなくマグリッジが、船長に海へ投げこまれ、サメに食われて命を落す。ある夜、実はある文芸雑誌の発行人の娘であるモードとバン・ワイデンは、ボートで脱出し、日本へ向かったが、大時化にあい、モードは溺死し、バン・ワイデンはある小島にうち上げられた。彼はその後、捕鯨船に救われ、サンフランシスコへ帰ったが、彼は昔の彼ではない。人生観も世界観もすべて変わり、彼は再び貨物船を買って船出した。あの“幽霊号”と同じコースをたどり、ウマ島へ。やがて、島に上陸したバン・ワイデンが島1番の高所からみたのは、あの“幽霊号”の惨めな姿。そして船に近寄った彼は、そこで部下に見捨てられたあのラーセンの姿を発見するのであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く