劇場公開日 2025年7月25日

チャルラータのレビュー・感想・評価

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2.0ご無沙汰ジット・レイ

2025年8月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

サタジット・レイの映画は随分前に6本ほど見ているが、久方ぶりの再会である。原作のタゴールは詩人のイメージが強かったので、こんな通俗的な小説を書いていたとは意外だった。
チャルラータがなぜ高等遊民のようなアマルに惹かれたのかがよくわからなかった。居候なのに何もせずぶらぶらしているだけで、かと言って遠慮する気配もない。チャルラータの想いは一方的に燃え上がっているだけで、アマルの方はさほどでもないようだ。チャルラータの感情の吐露は唐突で、相手は当惑するばかり。こうなると可哀想なのは夫で、妻の心変わりに怒るでもなく、ただひたすらむせび泣くという…。
ラストは和解と捉えることもできるのかもしれないが、新たな地獄の始まりにも見える。
ベンガル文字は美しい。ペンで綴られていくのを見ているだけで、ほれぼれする。
レイ以外のインド映画も最近いくつか見てきて、共通するのは女性の置かれた危うい地位という問題だ。

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梨剥く侍

4.0噂に違わぬ優美な傑作‼︎

2025年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ミリオン座の「サタジット・レイ レトロスペクティブ2025」から一番観たかった作品を鑑賞。

優美という言葉が相応しいか。
噂に違わぬ傑作だった。

1880年(明治13年)、イギリス統治下のインド。カルカッタで裕福に暮らす若く美しい主婦チャルラータ。新聞社を経営する歳の離れた夫は多忙で、ひとり寂しい日々。

大学の休暇で訪れた夫の従弟と一緒に過ごすうち、次第に惹かれていくが。

おそらく初めての恋。
しかし不倫など許されるはずもなく。
たとえプラトニックな恋心でさえ。

チャルラータを演じたマドビ・ムカージーの魅力に酔いしれた。小津作品の原節子さんを思った。

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エロくそチキン2

5.01964年。サタジット・レイ監督。超深度の奥行きのある美しい画面で...

2025年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1964年。サタジット・レイ監督。超深度の奥行きのある美しい画面で描かれる、不倫未満の激しい思い。出だしの軽快な音楽と人物の動きの同調さ加減は小津安二郎かとおもうほど心地よいなあ、とおもっていると、画面の奥行きに圧倒されてぐいぐいひっぱられる。軽やかな関係が次第に真剣な想いになっていき、怒りにまで達する激しいものになっていく過程がすごい。19世紀末の女性の立場を考えれば、書くことをめぐる女性主人公の逡巡もわかるが、相手の男性への反発とも嫉妬とも愛情とも取れる負けん気を発揮して文芸賞に応募する(そしてなんなく掲載されてしまう)際の、思考中のドアップの額のあたりから二重に写される脳内映像がすばらしい。こんなにすごかった映画を実は一度見ていたのを忘れていたらしいのだが、今回は修復したということだから、インパクトがまったくちがったのだろうということで納得したい。とにかくすごいものを見た。

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文字読み

5.0純文学の匂いがこの映像にはする。

2022年4月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

端的に言えば、三角関係だけど。そんな事は兎も角、俳優に演技させる演出が良いと思う。いささか眠くなる長回しだが、AmazonPrimeなので、戻して、2時間30分で見た。傑作だと思う。
インド映画の偉大な監督だとは知っていたが、そして、インド映画が好きだと公言しているのに、初めて見て、大感動した。素晴らしい。

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マサシ

4.0向田邦子的

2015年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

夫婦の間に起きた小さなさざ波のような出来事が、やがて大きなうねりとなって二人の関係を変えていく。まるで向田邦子のシナリオのようなインド映画。
人妻の密やかな恋心の描写。綻びた夫婦関係に希望を感じさせるラスト。秀逸な映画的表現。小津のホームドラマに比肩する。

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佐分 利信