「至ってクラシックな70's香港ムービー」カンニング・モンキー 天中拳 思いついたら変えますさんの映画レビュー(感想・評価)
至ってクラシックな70's香港ムービー
可もなく不可もなくオールドスタイルなジャッキー映画。字幕版で観た限りはズバ抜けて笑える1本ではない。
オープニングのコント仕立てで七変化するジャッキーは寅さんの夢の中のようでのどかな愉快さがあるし、タイトルの本領に至る最終決戦は矢継ぎ早にギャグとバトルが絡み合い痛快ではあるが、そこに至る大半の時間は間延びして感じる。
意外なのがジャッキー演じる主人公のゴン。ヘボヘボのままカンニングだけで悪党共を打ち負かしちゃう感じなのかなと思いきや、中盤までには真面目にカンフーの地力をつけていつもの頼れるファイターに成長してるところ。流石に基礎もなしで勝てるほどカンフーは甘くないぞコラ、という事ですかね?すみませんでした。
敵の女ボスも含めればキレイどころが3人もいてオトクだが、今の日本人の目で見て嬉しいかどうかは人によるかな。ファン・リー/フォン・リォイ(演・ロン・ジェンエール)は目が大きくて愛らしいと思う。
個人的MVPがディーン・セキ演じるホームレス風の助言者(吹替版では風太郎というらしい)。常に飄々、ヘラヘラとしてて信用していいものか視聴者も混乱するのだが、実は兄弟子だとわかってからはググッと頼もしくなってくる。最終決戦でもゴンの良きバディとなり、コミカルさを遺憾無く発揮する。若い頃の植田峻さんに似たチャーミングさがあるかも。
ともあれこれはジャッキー映画全てにお墨付きのことなので言うまでもないが、カンフーのキレは今見ても色褪せない。そして話のテンポやギャグセンスはレトロだが娯楽映画としてやるべき事はひと通り抑えてはいる。ディズニーで例えればシリーシンフォニー。何にも優先して観るほどではないが、クラシック香港映画の楽しみ方を心得てる御仁なら「いつものあのノリ」をお酒のツマミに味わえるだろう。