美しく青きドナウ

劇場公開日:

解説

ワルツの王様と呼ばれるワルツに明け暮れる華やかなウィーンの話題と人気の中心であった不滅の作曲家ヨハン・シュトラウスの半生を描く。製作・監督・脚本はアンドリュー・L・ストーン、撮影はデイヴィス・ボウルトン、音楽はヨハン・シュトラウス・ジュニア、ヨハン・シュトラウス・シニア、ヨゼフ・シュトラウス、音楽監督及び指揮はローランド・ショー、編集はアーネスト・ウォルターが各々担当。出演はホルスト・ブッフホルツ、メリー・コスタ、ロッサノ・ブラッツィ、ナイジェル・パトリック、イボンヌ・ミッチェル、ジェームス・フォークナー、ヴィッキ・ウルフ、スーザン・ロビンソン、ジョージ・ハウなど。日本語版監修は高瀬鎮男。

1972年製作/アメリカ
原題または英題:The Great Waltz
配給:メトロ
劇場公開日:1973年3月10日

ストーリー

一八四四年、オーストリアの都ウィーンでは、ワルツが大流行していた。ヨハン・シュトラウス・シニア(ナイジェル・パトリック)はワルツの父とたたえられ、彼の指揮棒からは夜ごと華麗なワルツが躍りでて、人々を酔わせていた。そんなある日、愛人エミリー(スーザン・ロビンソン)の赤ん坊に、長男ヨハン・ジュニア(ホルスト・ブッフホルツ)と同じ名前をつけたことからアンナ夫人(イボンヌ・ミッチェル)が怒り狂ってしまった。アンナ夫人は恨み骨髄、息子のヨハン・シュトラウスをドマイヤーの経営するダンスホールからオーケストラを率いてデビューさせることにした。シニアは息子の音楽の勉強すら固く禁じていたうえに、こともあろうに自分の競争相手のホールで指揮すると知って大ショックだった。アンナ夫人は、息子の才能をひそかに恐れている夫の最も痛いところを突いた、と喜んだ。それから五年目、父を病で失ったシュトラウスは、父のオーケストラを引きつぎ、美しいメロディを次々に制作し、作曲家としての彼の名声は次第に国外へも広がっていった。それと共に、陽気な遊び心が、ペテルブルグでは貴族の令嬢オルガ(R・ネイザン)アルプスの宿では歌手ルイーズと浮き名を次々に流して行った。ある夜、テデスコ男爵邸(ロッサノ・ブラッツィ)で開かれた舞踏会で、シュトラウスはデビューの夜の思い出の女性オペラ歌手ジェティ(メリー・コスタ)と再会した。二人の恋は急速に進み、ジェティは男爵の深い愛との板挟みに悩んだ。やがて、シュトラウスの作曲活動はジェティという無二の伴侶を得て、ますます冴え、幅広いものになっていった。「ウィーンの森の物語」も、二人で遊んだ森からの発想だった。一八六七年、パリ万国博で演奏するよう招待され、彼は大喜びしたが、しかし、ジュティがテデスコとの間の隠し子カールがパリに住んでいるため気が重かった。彼女の恐れは的中し、カールは莫大な金を脅迫してきた。パリ万国博での役割は大成功を納めたもののそれが原因となり、二人の仲はさめていった。さらにカールの脅迫は続き、ジェティがこれを拒否したため秘密はシュトラウスの耳に入ってしまった。妻が自分の眼を盗んで男爵と不倫な関係を結んでいたという誤解は二人を決定的に引き裂いた。しかしテデスコからの手紙がシュトラウスの誤解を氷解させた。一八七二年、シュトラウスは世界平和記念祭に招待された。彼はボストン・パビリオンで一千人の大オーケストラと二万人の大合唱団を指揮した。その全世界の平和をたたえるような「美しく青きドナウ」の調べに包まれながら、ジェティは、今日の栄光と誇りを、指揮台の夫と共に分かち合うのだった。

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