忘れられた顔(1936)
解説
「再び逢う日」「青春の溜息」のハーバート・マーシャルが「再び逢う日」「女罠」のガートルード・マイクルを相手に主演する映画で、リチャード・ウォシュバーン・チャイルド作の小説に基づいて「クーパーの餓鬼大将」のマーゲリット・ロバーツ、「撮影所の惨劇」のロバート・ヨースト、「再び逢う日」のブライアン・マーロウが協力脚色し「泣き笑い人生」「黄金の唄女」のE・A・デュポンが監督にあたり、「航空十三時間」「最後の駐屯兵」のテオドル・スパクールが撮影した。助演者は「薔薇はなぜ紅い」「空中非常線」のロバート・カミングス、「珍芸騒動」のジェームズ・パーク、新人女優ジェーン・ローズ、ロバート・クレックラー、アーサー・ホール等という顔ぶれである。
1936年製作/アメリカ
原題または英題:Forgotten Faces
ストーリー
賭博場経営者ハリー・アシュトンは妻クレオが再び舞台に帰りた いというのに極力反対した。二人の仲はあまりうまくいっていなかったが、ハリーは妻を信じ愛児サリーをこの上もなく愛していた。ところがクレオはハリーの商売仇スティーヴと密通していたので裏切られた彼は男を殺した上、サリーを友人ドノヴァン警部に頼んで自首した。ドノヴァンの計らいによってサリーは富裕なマクブライド家の養女となった。ハリーは終身刑に処せられ、17年の歳月が過ぎた。サリーは成長して美しい娘となり、クリントという立派な恋人までできて幸福な生活を送っていた。その頃クレオは零落に零落を重ね、怪しげなバーレスクの踊り子となって、闇の世界を男から男へと渡り歩いていた。ついにその一座が金に窮しクレオが男から捨てられようとした時、彼女は昔自分から姿を消した実子サリーを探し出し、金を強請しようと考えた。彼女は獄屋にハリーを訪れてサリーの行方を知らせようとしたが、ハリーは娘の居所を教える代わりに、もしクレオがサリーの幸福な生活を脅かしたら命はないものと思えと言い切った。クレオはさらにドノヴァンを訪れて娘の行方を知ろうとしたが彼は一言も口を開かなかった。クレオは仲間と謀ってドノヴァンを自動車で轢き懐中からサリーの結婚に関する新聞の切り抜きを取り出して娘の生活を知った。クレオは徐々にサリーに魔の手を伸ばし始めた。ドノヴァンから事情を聞いたハリーは、娘を護るためクレオを殺害しないという条件で仮出獄を許された。出獄した彼は昔から好きだったヘリオトロープの花をもってクレオに警告を発した。クレオは狂気のように逃げ回りながらサリーに近づかんとするが、彼女の至る所ヘリオトロープの香があった。ハリーなついにマクブライド家の執事となってサリーの成長を嬉し涙で見守っていた。ある日彼はサリー宛でのクレオの手紙を受け取ると、偽手紙で彼女をマクブライド家に呼んだ。ついに娘に近づけないと知ったクレオはハリーを射ったが、窓から逃げようとして墜落惨死した。ハリーは駆けつけたドノヴァンに抱かれながら、娘には何も言わないでくれと頼んで絶命した。