粧いの夫人

解説

「魔の家(1932)」「待ちかねる処女」のジェームズ・ホエールが監督した映画で、「宝石泥棒」のラディスラス・フォドール原作の舞台劇を「カンターの闘牛師」のウィリアム・アンソニー・マクガイアが脚色したもの。撮影には監督に昇進したカール・フロイントが特に当たっている。「暗夜行路」「七月の肌着」のナンシー・キャロル、「千万弗の醜聞」のフランク・モーガン、「地下の雷鳴」「地獄特急」のポール・ルーカスが主演し、「魔の家(1932)」のグロリア・スチュアート、舞台女優のジーン・ディクソン、「六月十三日の夜」のチャールズ・グレイプウィン、ドナルド・クック、ウォルター・ピジョン等が助演している。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:The Kiss Before the Mirror

ストーリー

ウォルター・バーンスドルフは彼の若い美しい妻が丹念に着付をし髪を整えるのを見ようと妻の部屋へ気づかれないように忍び込み鏡の前で接吻した。妻はさまたげられ化粧が台無しになったことを怒った。バーンスドルフは妻を疑い、妻が家を出たあとをつけ彼女の情夫のアパートへ行った。バーンスドルフは情夫の腕に抱かれている妻を射殺し、直ちに警察へ自首した。バーンスドルフの友人の法律家ポール・ヘルド博士は彼を弁護しようと準備する。バーンスドルフは犯行の詳細をヘルドに話した。帰宅して妻の部屋に入ったヘルドは妻マリアが、バーンスドルフが彼の妻について供述した詳細と全く同様に恍惚として外出の化粧をしているのを見た。ヘルドは妻に接吻した、しかも彼女は怒って彼を拒んだ。この出来事は彼には同様に思えた。そして狂気のように嫉妬にかられたヘルドは妻のあとをつけ公園へ行った。そして妻が情夫の腕に抱かれているのを見た。ヘルドは監房へ行って、バーンスドルフに彼の同じような経験について話した。そして彼がバーンスドルフの釈放を得た後、マリアを殺すと誓った。彼はバーンスドルフの言葉には耳を傾けなかった。裁判の日ヘルドはマリアに法廷へ来て傍聴しろと言った。彼はこの事件が恰も彼自身の上に起こったことであったかの如く正確に述べ堂々たる弁論をやった。彼の痛烈な論告は皆マリアへ向けたものだった。論告が最高潮に達した時ヘルドはピストルを取り出し妻へ向けて叫んだ。「こういう情況にあって男はどうすればいいのか?」と。ヘルドの熱情的な弁論は功を奏しバーンスドルフは釈放された。やがてヘルドは妻と向かい合った。彼女は自分の罪を認め殺してくれといった。然し彼は愛する妻を殺すことは出来なかった。マリアは離婚を覚悟したがヘルドは暫く考えさせてくれと言うのだった。家へ帰って彼はマリアの部屋へ入り、ピストルを化粧鏡に投げつけた。鏡は壊れた。途端にマリアが帰り来った。相対したヘルドと彼の妻はお互いに愛し合っていることを感じ合った。愛は何ものよりも強い。二人は過去の一切を精算して相愛の夫婦として抱擁したのである。

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