ゆりかごの唄

解説

「制服の処女」「黒衣の処女」のドロテア・ヴィーク渡米第1回主演映画でG・M・マルティメス・シエラ作の戯曲を、ニューヨークの劇作家マーク・コネリイが改作し、「ジェニイの一生」「彼女の用心棒」のフランク・パートスが「百万円貰ったら」のロバート・スパークスと共同して台本を作り、「鷲と鷹(1933)」の監督補助をしたミッチェル・ライゼンが、ニナ・モリズを助手として監督にあたり、「戦場よさらば」「恋の手ほどき(1933)」のチャールズ・ラングが撮影している。助演者は劇界から入って処女出演のイヴリン・ヴェネブルを始め、「鷲と鷹(1933)」「深夜の紳士」のサー・ガイ・スタンディング、「ビール万歳」のルイズ・ドレッサー、「坊やはお休み」のガートルード・マイケル、「恋の手ほどき(1933)」のニディア・ウェストマン、「明暗二人女」のケント・テイラー等が助演している。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:Cradle Song

ストーリー

スペインのカスチル地方のある小さな町でのことである。処女ジョアナは母が世を去って後5人の弟妹を母親代わりに育てて来た。彼女は平和な山間のこの町を1歩も離れたことのない娘で、この世での1番立派なことは尼僧となって神に身を捧げることだと考えていた。それで18の春、同じ思いのマルセラなどと共に町外れの岡に立つ修道院に入った。幼い弟のアルベルトは彼女と別れるのを悲しんで泣いた。その泣き声やお人良しの父の面影が、常時はジョアナの修道の妨げとなったが、彼女は神に祈り聖母の慈悲を願って、うき世との絆を断つことができるようになった。ある日、この尼院の表に捨て子があった。ジョアナはその嬰児をいとおしがって尼院長に修道院で育てさせてくださいと願った。来合わせていた老医師ドン・ホセはその嬰児を自分の養子として修道院に養育を頼むという形式を執ってジョアナの願いを叶えさせた。やがてジョアナは見習い尼の期間も過ぎて、キリストの花嫁としての1人前の尼僧となり、かの捨て子のテレサを聖母の慈しみを以て育てた。かくて星移り年は重なってテレサが17才の誕生日が来た。ジョアナは心を込めて晴れ着を作ってやったが、養父ドン・ホセがマドリッドから買って来た美しい衣裳をテレサが喜ぶのを見ると彼女はテレサが涜神の罪でも犯した様に感じて憤るのだった。誕生日祝いをドン・ホセは町でやることとなり、テレサは生まれて始めて修道院の外に出た。そして鉄道工事を監督している若い技師アントニオに紹介された。雄々しい青年の姿は17の処女の心を動かした。誕生日祝いに招かれたアントニオはテレサと恋し合う仲となった。修道院に帰ったテレサが、アントニオから結婚を申し込まれた話をした時、ジョアナには手の中の珠を奪われる様な悲しみと、テレサを奪いゆく者に対する嫉妬とを感じた。しかしジョアナ尼は、テレサの幸福、テレサが望む幸福を彼女に得させることより以外、彼女として望むべきでないと悟り、涙をのんでテレサが嫁ぐことを承諾した。結婚式は花婿の母親の望みでマドリッドで挙げられることとなり、アントニオはテレサを貰い受けに修道院に来た。院長を始め尼僧一同はヴェールをかかげて、アントニオの感謝を受けた。ジョアナ尼は別離の悲嘆に絶え切れずテレサを掻き抱いて接吻の雨を注いだ。折から勤行の金が鳴り渡った。尼僧等は聖歌を合唱した。テレサはアントニオと共に去ったのだ。ジョアナ尼は合唱に和して聖歌を誦して我と我が心を励ますのであった。

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