友愛天国
解説
「サニー・サイド・アップ」とおなじくジャネット・ゲイナーとチャールズ・ファーレルとが主演し、デイヴィッド・バトラーが監督した映画で、原作はダナ・バーネットの筆になり、「ドノヴァン」「空の王者」のハワード・J・グリーンが脚色及び台詞をつけた。助演者として「ハッピイ・デイス」の老ウィリアム・コリヤー「浮気成金」「七つの鍵」のルシアン・リトルフィールド、「ブロードウェイ黄金時代」「尖端一目惚れ」のルイズ・ファゼンダ、「娘乱暴記」「ケンタッキーの唄」のヘッダ・ホッパー、「ツェッペリン倫敦襲撃」のジョイス・コンプトン、「巴里見るべし」のグレゴリー・ゲイ等が出演。カメラは「ホリウッド結婚」「躍るカレッジ」のチャールズ・ヴァン・エンジャーが担任している。
1930年製作/アメリカ
原題または英題:High Society Blue
ストーリー
300万ドルの小切手と100万ドルの株券でフリーモントの自分の店を売り払ったエディー・グレンジャーは一家をあげてニューヨークに移転し、買手ホレース・ディヴァイン家のお向かいに堂々たる邸宅を買って住み込んだ。グレンジャー一家はディヴァイン家と親交を結ぼうとするが、ディヴァイン夫人はしょせんおすまし屋の上流夫人でフランス帰りのエレノアはフランス人のプルニエ伯と近く結婚することになっていたが、ある日ユカレレを弾いていたグレンジャー家の息子エディーに出会いユカレレが取り持つ縁となって互いに友情以上のものを感じるようになった。やがてプルニエ伯爵が現れる。ディヴァイン一家は伯爵を交えて夕食の卓についた。そこへせっかくディヴァイン家を招待したのに、当夜となって病気と偽り出席を断って来たホレースに憤慨しグレンジャーが飛び込んで来た。この復讐は必ずするから覚えておれとグレンジャーが相手に怒鳴りつけて引き返す。エレノアとエディーは何とかして伯爵との結婚を破棄して、2人で結婚しようと心をとく。婚約披露の夕、いつまで経っても伯爵がこないので、ディヴァイン夫人はやきもきしている。それもそのはず、心に深く企んだエディーは、伯爵を散歩の途に擁してわが家に連れ帰り、ぐでんぐでんに酔わして妹のパールに介抱させ、自分はひそかに抜け出してエレノアを連れだす策を立てていたのだ。エディーからこの事を相談しかけられたエレノアは、母をだまして1通の置き手紙を残したまま戸外にでて、エディーの自動車で教会に行って結婚してしまった。置き手紙を見たディヴァイン夫妻は、それを伯爵とエレノアの2人がひそかに結婚してハネムーン旅行に出たものと早合点し、そのまま来客一同に披露してしまう。ディヴァイン家への復讐に燃えるグレンジャーは、一家の者をあつめて、自分はウォール街で投機をやって大儲けをし、復讐する覚悟だ。従って失敗すれば一文なしになるのだから、今のうちに欲しい者には10万ドルずつやると宣言する。母と妹は父に従って金はいらぬと答えたが、エディーは意外にもでは僕に10万ドル下さいと言って父を驚かせた。しかし結局10万ドルをコンソリデート株でもらいうけた。コンソリデート株の2分の1まで買い占めたグレンジャーは、ディヴァインに電報で、コンソリデートの実権はエディーの持ち株と合わせることによって完全に自分の掌中に帰した。従って貴下は1個の無力者となるわけだと知らせる。ディヴァインが翌朝憤慨してグレンジャーの家にどなり込んで来る。とエディーがいるので、グレンジャーと2人でエディーの持ち株をせり挙げて我がものとしようとするが、エディーは何方にも承諾を与えない。2階から意外にもプルニエ伯爵がフラフラと降りて来る。グレンジャーはもちろん、ディヴァイン夫妻もこれを見て驚きあきれる。2階に上がってみるとエディーとエレノアがむつまじく語り合っている。そして終にさしも頑固だった彼等両親も我が子への慈愛からエディーとエレノア、伯爵とパール2組の結婚を許し、両家の間もめでたくおさまった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- デビッド・バトラー
- 脚色
- ハワード・J・グリーン
- 原作
- ダナ・バーネット
- 台詞
- ハワード・J・グリーン
- 撮影
- チャールズ・ヴァン・エンガー
- 作詞
- James F. Hanley
- ジョセフ・マッカーシー