「ほのぼの強盗劇の衝撃の結末」狼たちの午後 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
ほのぼの強盗劇の衝撃の結末
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総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
そこらあたりでコンビニ強盗やっているのと同じくらいに低能な犯罪者が行う銀行強盗は、当初から躓きまくる。顔も隠さず押し入り本名を呼びあい、強盗を始めた途端に仲間の一人がが怖くなって「やっぱり出来ない」と言って逃げ出すなんて、とんだ笑い話だ。しかも本当に起きた事件だそうだから、こんなことをいうのも失礼だがずいぶんとのんびりした強盗たちである。人質になった行員たちは最初は恐怖に引きつっていたが、その後はお喋りに花が咲いて、この大きな催し物をそれなりに楽しんでいる。このお粗末な強盗劇を笑い飛ばすための作品なのかと思ったほどに間抜けな雰囲気が続く。
だがそこにはこの催し物を見逃すまいと野次馬が押し掛け、事件の深刻さも考えずにただ楽しもうとする。報道機関も視聴者受けを狙った番組を作ろうとする。アル・パチーノが演じるソニーは、妻にも両親にも同性愛の相手にも理解されなかったり裏切られたりで、相棒のサルとも噛みあわず、この強盗の裏にある苦悩と孤独が浮き彫りにされる。そしてそんな彼自身も噛みあわない相棒を売ることになる。脱出が近づくにつれて命を失うかもしれないという予感が近づいてきて、最初の状況がすっかりと変化し緊迫感が高まる。
後半のその生死の境にいる雰囲気、特に最後の衝撃と、半日ですっかりとやつれたアル・パチーノの演技がなかなかのものだった。
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