柳の精
1920年製作/アメリカ
原題または英題:The Willow Tree
ストーリー
有名な彫刻師友忠は倅のジョン・チャールズと娘艶子と伊東村に住んでいた。日本の美しい風光に憧れてこの隣村に居を構えていたリチャード・ハミルトンはある日伊東村へ来て友忠の仕事場で珍らしい彫刻を見た。友忠はこの彫刻に就いて物語った。昔1人の大勇士が世の煩雑を避けてある遠い島に寓居を求めた。彼はその島で美しい柳の精を妻とする。丁度彼の藩に大事があった為?主及び彼の妻から帰藩を奨められたが美しい妻を得た勇士は如何してもこの島を離れられなかった。妻はある夜決心して傅家の名刀を以て己が本體なるこの柳を刺しその麗しの姿を消してしまった。やがて勇士は奮然国難に赴いた。この像は由緒あるその柳を以てその精を彫刻したものである。この物語を聞いたハミルトンは像を買わん事を切に望んだが家宝の故を以て断られた。この時の娘艶子の胸深くハミルトンの姿が刻まれた。父は娘が近く某富豪に嫁ぐのでその莫大な結納金を倅の洋行費に充て様としていた。ある朝媒介人が花嫁を迎えに来た。が然し娘の姿が見えず池の面には彼女の下駄が浮かんでいた。父は結納金を返済せねばならなかったが倅チャールズは既に乗船券を購入してしまった。友忠は不得己家宝の像をハミルトンに売った。娘は実はハミルトンの家に忍んで像の身替りとして箱の中に坐っていた。突然像の動くのを見た彼は木像に魂を入れたものと思い娘この家に止めた。折から彼の故国は某国と開戦した。彼の許婚メリーは彼に帰国を奨めたが柳の精に酔った彼は帰ろうともしないのでその女々しさにメリーは破約を申し込んだ。それを見た艶子はある暴風雨の夜書生に庭の柳を切らしめ標然姿を隠した。あくまでも彼女を柳の精と信じた彼は友忠の物語を思い故国の難に赴いた。四箇年が過ぎて平和な秋が訪れた。柳の精ならぬ艶子は美しく咲き乱れた白菊の花を手折りつゝ彼を迎えた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ヘンリー・オットー
- 脚色
- ジューン・メイシス
- 原作戯曲
- J. H. Benrimo
- Harrison Rhodes