未亡人倶楽部

解説

「極楽特急」「ブロンド・ヴィナス」のハーバート・マーシャルが主演する映画で、「百米恋愛自由型」「偽りのマドンナ」のスチュアート・ウォーカーが監督している。I・A・R・ワイリーの原作に基づき「ブロンド・ヴィナス」のS・K・ローレンと「空の花嫁」「六月一三日の夜」のアグネス・ブランド・リーが共同して脚色に当たり、撮影は「六月十三日の夜」「歓呼の涯」のハリー・フィッシュベックが担当した。助演者は欧州から来たサリ・マリッツァ、「極楽特急」「その夜」のチャールズ・ラグルズ、「六月十三日の夜」「百万円貰ったら」のメアリー・ボーランド、「進めオリンピック」「お化け大統領」のジョージ・バービア「百万円貰ったら」のルシアン・リトルフィールド、バート・ローチ等である。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:Evenings for Sale

ストーリー

フランツ・デゲンタル伯爵はかつてはオーストリア近衛騎兵隊付大尉であった。ところが今、彼は貧して見すぼらしいウィーンの下宿で自殺せんとして居たのである。かの大戦はすべてを変えて了った。由緒正しい伯爵家も今は零落して彼は貧窮のドン底に沈んでいたのだ。さて彼は、最後の彼の財産であるピストルを手に思案の折も折、戦友フォン・トラスクから舞踏会の招待状を送って来た。フォン・トラスクも文無しで夜会服を買う金が無かったのである。一生の思い出に、彼はピストルをカタに夜会服を質受けして、舞踏会に現れたが、その会で美しき金髪娘レラと相知り、接吻を交わした。そしてはからずも昔の従卒ビンブルの世話で、彼の勤めているカフェのジゴロになるに及んで、憂世はデゲンタルにもようやく一道の光明を見い出させた。一方レラは、デゲンタルの窮乏を察し、彼女の父を説いて彼に就職口を世話したが、彼は愛する人の慈悲を受けるを快しとせず之を断った。レラに求婚しているオットーはデゲンタルを嘲って、彼がジゴロなることを告げ、レラとその父を伴ってわざわざデゲンタルの働くカフェを訪れる。折も折、デゲンタルはアメリカの金持ちの後家さんジェニイを宜しくあしらっている最中だったので、憤怒したレラは彼を散々侮辱する。後家さんジェニイは、デゲンタルが商売で親切にしてくれるとは知らず、彼が伯爵であると聞いて有頂天に喜ぶ。そして、彼の祖先からの邸を見せてもらう約束をする。しかしその邸も今は競売人の手に渡って居た。デゲンタル伯爵競売の日、レラはオットーと共に伯爵家の家具を買いに出掛けた。そしてレラは後家さんと競売の附値を争い、居合わせたフォン・トラスクに罵られた。之を聞いたデゲンタルは彼女のために敢然と、フォン・トラスクと決闘して、負傷した。後家さんは伯爵家のために邸を全部買った。そしてデゲンタルのために残した。ビンブルは後家さんとデゲンタルを結婚させようと策動して、話が纏まらなくもないようだったが、折も折、アメリカから長距離電話が後家さんの許にかゝり、娘のルルが赤ん坊を産んだことを知らせて来た。後家さんは、一切を残してアメリカへ帰った。やがてレラとデゲンタルの誤解もとけ二人は固く相抱くことができた。

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