摩天楼の狼
解説
「マデロンの悲劇」のエドガー・セルウィンが監督した映画で、フェイス・ボールドウィン作の小説を「若き血に燃ゆる頃」「キューバの恋唄」のC・ガードナー・サリヴァンが改作し、「浮気合戦」のエルマー・ハリスが脚色したもの。主役は「裁かれる魂」「処女読本(1932)」のウォーレン・ウィリアムで、「類猿人ターザン」「愉快な武士道」のモリーン・オサリヴァン、「ニューヨークの仇討」のグレゴリー・ラトフ、映画初出演の舞台女優ヴェリー・ティーズデール、「処女読本(1932)」のアニタ・ペイジ、「女学生の日記」のノーマン・フォスター、「街の野獣(1932)」のジーン・ハーショルト、「怪物団」のウォーレス・フォード、「未亡人倶楽部」のジョージ・バービア、ヘッダ・ホッパー、ヘレン・コバーンが助演している。撮影には「スザン・レノックス」「自由の魂」のウィリアム・ダニエルスが当った。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:Skyscraper Souls
ストーリー
サラはマンハッタン第一の摩天楼の建築者ドワイトの女秘書で、永年主人に恋をしていたが、別居しているドワイトの妻が離婚を承諾しないために日陰者の地位に甘んじていた。サラは朋友の娘リン・ハージングをタイピストに雇った。リンはドワイトビルの一階にある銀行の行員トム・セパードと恋に陥ったが、ドワイトは純なリンに心をひかれた。ドワイトは自分の銀行の金を建築に流用していたが、遣り繰りに困り他の銀行と合併を計った。合併した銀行の株は上がった。ドワイトビルの勤め人等はその株を争って買った。サラはトムにも買うことを勧めた。それはトムとリンとを早く結婚させたいため、ドワイトの愛をリンに奪われないためだった。株値が上がりつめた時を見計らってドワイトは突然売りに出て巨利を博した。そのために銀行の株主連を始めドワイトビルの多くの勤め人たちはあるいは破産しあるいは貯金を失って了った。かくてドワイトは今や彼が建築した大ビルディングを完全に己が所有物とすることが出来た。その野望を実現して有頂天になったドワイトは、かねて想いをかけていたリンを伴って快走船に乗り世界漫遊に出掛け様と計画する。サラはこのことを知るや裏切られた憤りと、捨てられた恨みとに逆上してドワイトを射殺して了った。ヒステリー的発作から目醒めたサラは今更の如く愛人を手にかけた悲しみから夢遊病者の如く摩天楼の頂上の塔に登った。彼女がドワイトと共に建築し誇りとしていたそのビルディングからサラは身を躍らした。ドワイトの毒牙をのがれたリンはトムの正しい愛を再認識し彼と共に幸福なる明日に発足したのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エドガー・セルウィン
- 脚本
- C・ガードナー・サリバン
- 脚色
- エルマー・ハリス
- 原作
- フェイス・ボールドウィン
- 撮影
- ウィリアム・H・ダニエルズ