「ヒッチコック転落のきっかけとも言われる迷作」マーニー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒッチコック転落のきっかけとも言われる迷作
「サイコ」に続き「鳥」でセンセーションを吹き荒らしたヒッチコックだが、この「マーニー」から調子が狂いだしたと見る向きも多い。ヒロインが巧みにオフィスの金庫からごっそりとお宝を頂戴する姿は女泥棒のようでかっこいいのだが、しかしその犯罪を全てショーン・コネリー演じる男がお見通しだったというあたりから話が急激にまどろっこしくなっていく。そしてヒッチコックの男尊女卑的な価値観も見え隠れして、どのように受け止めるべきか戸惑うところである。「赤」が潜在意識に刺激を与える演出はさすがで、他には真似できないヒッチ的な狂気がたまらないのだが。
もともと本作はモナコ王妃となったグレース・ケリーの女優復帰作として用意されたものだったとか。しかしモナコが国家危機を迎え、彼女がそれの対応へと専念したことから出演が叶わなくなってしまう。どこかボタンを掛け違えたような作りはそういうところに原因があるのかもしれない。
コメントする