紅薔薇行進曲
解説
「歌の翼」「間奏楽」に次ぐグレイス・ムーア主演映画で、スティーブン・モアハウス・エヴェリーが書き下ろしたストーリーに基づいて、「マルクス一番乗り」のジョージ・オッペンハイマーと「ロバータ」のジェーン・マーフィンとが協力脚色し「結婚設計図」「四つの恋愛」のエドワード・H・グリフィスが監督に当たり、「陽気な街」「歌へ陽気に」のルシエン・アンドリオが撮影した。相手役は「花嫁凱旋」「我は海の子」のメルビン・ダグラスが勤め、「高圧線」「私のダイナ」のスチュアート・アーウィン、「膝にバンジョウ」「ショウボート(1936)」のヘレン・ウェストリーを始め、「この三人」のマーガレット・ハミルトン、「丘の一本松」のリチャード・カール「小公子」のウォルター・キングスフォード等が助演している。
1937年製作/90分/アメリカ
原題または英題:I'll Take Romance
ストーリー
南米に移住している米国人ジェームズ・ガスリーは、メトロポリタン劇場の有名なソプラノ歌手エルサ・テリーをブエノスアイレスの劇場に出演させると公言した手前契約を結ぶために運転手上がりの米人で、同僚のパンチョを伴ってはるばるニューヨークへやってきた。ところがエルサの後見人であるデラ夫人は彼女をパリへ出演させるつもりなのでガスリーの計画は思い通りに運ばない。彼は直接エルサに会って契約を結ぼうとさまざまの贈り物をするがさらに効果がない。そこで一策を案じた彼はパリの音楽批評家ジナールに成り済ましてまんまとエルサに面会したが、彼女とジナールとは知己の仲なのでガスリーの化けのかわはたちまち剥げてしまう。しかし彼女は彼が自分のファンであると思って好意を感じ、またガスリーはエルサの隣にアパートを借りて往来し、次第に親しみを増していく。彼は自分がブエノスアイレスの劇場関係者であることはひた隠して、彼女に南米旅行を勧めるがデラ夫人は好条件のパリにエルサを主演させる自説を曲げないので、背に腹は代えられずガスリーはパンチョと計って彼女を南米行きの船に誘拐しようとする。このはなしを立ち聞きしたエルサはガスリーが自分を恋する余りにナンビへ連れていくのだと思って、わざと騙されたふうを装って、南米行きの船に乗り込む。ところが、月夜の甲板で踊り楽しむ二人のところに、デラ夫人からの電報が届いた。それによって、この計画が契約を結ぶためのガスリーの策謀であったことが判明する。と女は激しい憎悪を感じたが、契約だけは意地にも実行しようとする。しかしガスリーも真心から彼女を愛していたので自分の愛情を証明するため、パンチョに命じてエルサを誘拐せしめて愛を訴えるが、彼女はそれを認めようとしないので、やむなく彼はすべてをあきらめる。舞台に繰り広げられてたエルサの美声と演技は満場の観客を魅了したが、客席の一隅でそれを見つめるガスリーは失恋の痛手を忘れるために、今夜限りで遠い旅にでる決心をしたのであった。彼がパンチョの言も退けて、淋しく劇場を去らんとした時、不意にギャングのために自動車に押し込まれ、目隠しをされてある田舎屋に連れていかれた。縛り付けられた彼が一時も早く逃れようともがいている時、きゅうに懐かしい愛の歌「ロマンスを求めて」の甘い調べが流れてきた。それは忘れがたいエルサの声であった。そして彼の目隠しをとってくれたのはパンチョだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エドワード・H・グリフィス
- 脚色
- ジョージ・オッペンハイマー
- ジェーン・マーフィン
- 原作
- スティーブン・モアハウス・エイブリー
- 製作
- エヴェレット・リスキン
- 撮影
- ルシエン・アンドリオ
- 音楽監督
- モリス・W・ストロフ
- 音楽
- オスカー・ハマースタイン2世
- ベン・オークランド
- 作詞
- オスカー・ハマースタイン2世
- ベン・オークランド
- 指揮
- アイザック・ヴァン・グローヴ
- 舞台演出
- ヴィルヘルム・フォン・ヴィメタール