百万長者の恋
解説
「恋のデパート」「アイスクリーム艦隊」に次ぐクララ・ボウ嬢主演映画で、「アイスクリーム艦隊」と同じくキーン・トンプソン氏原作、ハーマン・J・マンキーウィッツ氏台詞、フランク・タトル監督になるもの。脚色には「若き翼」「西部の星影(1930)」のグローヴァー・ジョーンズ氏と「寝巻」「モガ地獄」のウィリアム・コンセルマン氏とが共同して当り、キャメラは「快走王」「桃色の盗賊」のアレン・G・シーグラー氏がクランクした。助演者は「ハニー」「スウィーティー」のスタンリー・スミス氏を始め、「ハニー」「恋愛運動場」のミッチー・グリーン嬢、「レヴュー結婚」「ハニー」のスキーツ・ギャラガー氏、「スウィーティー」のスチュアート・アーウィン氏、「四枚の羽根」のセオドア・フォン・エルツ氏、チャールズ・セロン氏、クロード・キング氏等である。
1930年製作/アメリカ
原題または英題:Love Among the Millionaires
ストーリー
ペッパー・フィップルは父親が経営している田舎の1ステーションの付近にある軽便食堂の美人女給で、声が美しいので評判であった。電信技師のワトスンと鉄道専属の探偵マッギーとに彼女の愛を獲ち得ようと競争する恋敵であった。しかしペッパーは彼らが慕い寄るのを柳に風と受け流していた。この鉄道会社の社長ハミルトンの息子ジェリーは大学を卒業して鉄道事務を覚えるため、手始めとして制動手になった。彼の愛犬が取り持つ縁で彼はペッパーと会い一目見てお互いに惚れ合ってしまう。社長の信任篤い敏腕なジョーダンはこの恋愛事件を直ちに社長に報告したので、ハミルトンは驚いて至急帰宅せよとジェリーに電報を打った。一方ペッパーの父親も頑固爺で社長の息子に欺されてはならぬと娘を厳重に見張った。ペッパーの妹のペネロープは姉さんの恋文をジェリーの許へ届け、巧みに手引をしてペッパーをジェリーと共に駈落ちさせた。ハミルトンは予想外にもペッパーを丁重に遇したが、彼の真意は彼女とジェリーとの結婚に大反対であることを鋭敏なペッパーは見て取った。しかし社長はジェリーが望んでいた鉄道会社での職を、彼はこの恋愛沙汰によって不適任であることを暴露したからといってジョーダンに与えることにした。ペッパーは自分がジェリーと結婚することは愛する人をかえって不幸にするものであると考え、社長からジェリーに幻滅を感じさせてくれと頼まれるままに承諾した。一方フィップルに爺さんは娘の出奔に仰天して店を閉じ、妹娘と共にマッギーとワトソン共用のボロ自動車に乗ってハミルトン邸に駆けつけた。老獪なハミルトンはようこそ御入来、丁度園遊会を始めるところだと言って丸め込み大饗宴を始めた。ペッパーは約束通り大狂態を演じてジェリーを失望させ婚約を取り消した。ところが鉄道事業に熱情を抱いていることで貧富2老人はすっかり共鳴してしまい、事情を看破したペネロープがジェリーにかくと告げたので泣きの涙で帰郷しようとするペッパーをジェリーは連れ戻った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フランク・タトル
- 脚色
- グローバー・ジョーンズ
- ウィリアム・コンセルマン
- 原作
- キーン・トンプソン
- 台詞
- ハーマン・J・マンキウィッツ
- 撮影
- アレン・G・シーグラー
- 音楽
- J. Wolfe Gilbert
- アベル・ベア