パリの評判娘
解説
「禁断の家」「恋愛交差点」のダグラス・ダリューのユヴァーサルに於いての大1回主演映画で、「勝利の朝」「舞台裏の戦慄」のダグラス・フェアバンクス・ジュニアが共演する。脚本は「アヴェ・マリア」と同じくブルース・マニングとフェリックス・ジャクスンが協力して書卸し、「オーケストラの少女」「天使の花園」と同じくヘンリー・コスターが監督に、ジョセフ・ヴァレンタインが撮影に当った。助演者は「オーケストラの少女」「恋のみちぐさ」のミッシャ・オーア、「有頂天時代」のヘレン・プロデリック、「晩春」のルイス・ヘイワード、チャールズ・コールマン等である。
1938年製作/アメリカ
原題または英題:The Rage of Paris
ストーリー
フランス娘のニコルはニューヨークで生活に困っていた。モデル協会へ求職に行くと、裸体画のモデルなら口があるという。裸になるのは嫌だが、他の女が決まりそうになると、彼女はあわてて所書きを机の上から奪い取ってそこへ行った。余り急いだのでニコルは誤って若手実業家トレヴァーの所書きを持出したのだが、それに気付かず彼の事務所へ行くと、いきなり裸になったのでトレヴァーは驚いた。ニコルは自分の誤を知ると、恥ずかしさと憤りに急いでそこを出たが、その夜哀れにもアパートから追出された。これを知った隣室の元女優だったグロリアが同情し、旧知のロシア人の給仕、マイクの許へ就職に行った。一策を案じたグロリアは、彼が小金を貯めているのを知り、それを資本にしてニコルを美しく飾りたて、金持ちの男と結婚させようと企んだ。間もなくサヴォイ・ホテルでは、美しいニコルが男たちの間で評判になった。グロリアはこの娘のためにパリの男たちに決闘沙汰が絶えないので、それを逃れてアメリカへ来たのだと人々に紹介した。果して名門で金持ちの息子ビルが彼女に近づいて一夕オペラへ招待した。そしてそこで紹介されたビルの親友というのが、あのトレヴァーだった。彼はニコルにビルから手を引けと忠告し、その夜ビルにも彼女に近づくなと云ったけれど、かえってビルには僕の女を盗む気かと腹を立てるのだった。トレヴァーは親友のためにこの女を遠ざけようと苦心したが効なく、到頭ビルはニコルとの婚約を発表した。トレヴァーはその席上からニコルを誘拐して自動車に伸せ、山中の別荘に押込めた。その夜2人は何かしみじみと親しさを感じ、お互いに別れられぬ気持ちさえ抱くのであったが、夜が明けてみるとニコルはトラックに便乗して1人でニューヨークへ帰っていたので、裏切られたと思ったトレヴァーは直ちにその後を追かけた。ニューヨークではマイクとグロリアは、ニコルがこんな生活を止めてパリへ帰るというので驚いていた。ビルはようやくニコルの身元を知ると、驚いて莫大な手切金をマイクに手渡して彼女と別れた。マイクはこれで彼女に投資した資本で大儲けをしたわけだが、ニコルは淋しく欧州行の船に乗った。船が動き出すと、そこには一切を知ったトレヴァーが乗っていた。間もなく3マイル沖合へ出たら、船長の立合の許に2人は結婚するのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ヘンリー・コスター
- 脚本
- ブルース・マニング
- フェリックス・ジャクソン
- 製作
- バディ・G・デシルバ
- 撮影
- ジョゼフ・バレンタイン