バニーレークは行方不明のレビュー・感想・評価
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受け手に優しい
兎にも角にもスタイリッシュな映画だった。登場人物の内面や実在が最後まで宙吊りにされる緊張感はさながらヒッチコック『サイコ』を彷彿とさせるし、頻発するサスペンスフルなロングショットは手癖の領域にまで咀嚼されたオーソン・ウェルズ『黒い罠』と形容できる。
しかし偉大なる先駆者たちの技法を発展的に継承しようなどという殊勝な目論見はなく、気持ちいい箇所だけを拾い上げ、誇張させている感じ。よく言えばスタイリッシュ、悪く言えば軽薄。
とはいえせめぎ合うユーモアとシリアスが異様な緊張を生んでいたラストシーンは、この映画が軽薄だからこそ成立しえたものだろう。フィルム・ノワールみたいなお堅い作風の中にあんな異常者が出てきたらユーモアが勝ちすぎて台無しになってたと思う。
冒頭のスタッフクレジットの演出は今見てもなお鮮烈だ。細部まで粋な遊び心が利いている。スタイリッシュな作風に関してもそうだが、受け手に対してかなり優しい映画だなあと感じた。
imaginary friend
最初は必ず騙されるミスリード・サスペンス。とにかく未婚の母アン・レイクの娘フェリシア(=バニー)が保育園登園初日からいなくなり、兄スティーブンや警察が捜査する展開。序盤から慌ただしく、娘の消失に狂ったようになるアンだったが、何から手をつけていいのかわからない状況。そもそも映像にはバニーの姿がいないのだ。
もしかして想像上の娘じゃないの?という疑問を持ちながら注視するのですが、途中から保育園創設者の一人フォードの言葉やニューハウス警部が推測する“想像上の友達”という発言が出てしまい、あ、これじゃないな!と気づかされる。冒頭のブランコやウサギの人形が引っ掛けじゃないんだな・・・
それ以外のミスリードとして、料理人が失踪、担当のダフネ先生が歯医者、変態家主のウィルソン、そしてホラー映画チックな“人形の病院”。そもそも人形があれば娘の存在を証明できるとか無理のある展開があるから、ますます想像という線も出てくる。もう、ミステリー・ドラマというよりミスリード・ドラマだ!
当時としてはイギリスとアメリカの文化の差もあったことだろう。未婚の母という設定もその両者の意識の差が出てくる。もしかして、兄の異常な愛から逃れるために子供を産む決心をしたんじゃないだろうか?と考えてしまうし、子供時代への回帰というのも精神鑑定では心神喪失扱いになるかもしれない・・・と、エンディング以降のことまで想像してしまう。しかし、裕福そうな暮らしを見るからに雑誌社にもちゃんと勤めてるんだろうし、世の中わかんないものだ。
バニーって、本当にいたの?
って、途中、思ってしまいましたが、、
やれやれ、ふぅ、良かった〜
最初のビリビリビリっと破ってゆくタイトルがモノクロなのに、インパクトあり。
豪邸から高級車に乗って、引っ越しをするのは夫婦かと思いきや、兄妹でした。
引っ越し先の大家さん、保育所の料理係りに、園長の同居人とやら、次々とヒトクセある怪しい人達にもハラハラしながら、、、
兄妹、美形ですが、兄役のおもちゃ病院での豹変行動から、グイグイ引き込まれました。
妹役の病院の抜け出し、そしてそして、兄妹のごっこ遊び!
かくれんぼ、目隠し鬼さん、トランポリン、ブランコ、などなど、幼児の遊びがこんなに怖〜〜いモノだったとは!!
めちゃくちゃ面白くできてました♫
あ、ローレンスオリビエ、いい感じでしたね、ビビアンリーが好きになるのも納得だわ(*^_^*)
1966年製作の幼女誘拐事件をモチーフに描いた映画
バニーレイクは行方不明(66)
モノクロ。
オットープレミンジャー監督。61歳。
いや、うまく作っている。
ある事件からヒントを得たフィクションのようです。
ミステリー。
キャロル・リンレイ(24)
キア・デュリア(30)
ローレンス・オリビエ(59)
ノエルカワード(67)
年齢は誤差1歳くらい
66年のイギリス!
おかしな人たちばかりが次々に出てくるという印象。
古い映画だったが、なぜか引き込まれた。
昔読んだイギリスの推理小説の雰囲気。
昼から夜にかけて
丸一日彼女は
あの中にいたのか
その割には妙に元気なので
違和感を感じてしまったが
そこはまあよしとしよう
オープニングタイトルが洒落ていた。ソウル・バス。
タイトル通りの映画のはずがないと思いながら見た。
バニーは何処へ消えた?
保育園の闇?
初対面なのにとんでもなくフランク
やや変態的な大家の男。
なぜこんなに近い
この日に兄妹は大切な娘を
初対面の保育園に
預けなくてはならなかったのか?なぜ?
未婚の毋だと言う若い女は、子供のものをなにも提出できない。なぜ証拠がなにもない?
え、最初からいなかったのか
いるなら一体どこにいるのだ?
怪しいのは誰だ
という展開から、夜になって
イギリスのパブでお酒
しかし、
夜の場面は昼間と全く雰囲気は
変わる。
人形!
病院!
穴!
ブランコ!
ブランコ
精神病ではないのに精神病とされて、病院や刑務所やあの世に送られた人がこの世の中には絶対にいるでしょうね。それが、個人的ではなく組織的犯罪だとしたら?なんて恐ろしい想像をしてしまいました。周りから頭がおかしい奴扱いされても、本当はどちらが狂気か分からない。自分が見聞きしているものは、何が正しくて何が誤りなのか。周りを見渡して色々考え込んでしまう非常に哲学的な作品でした。ラストは、ブランコがナイスでした。
母性愛
公開当時(1965)の 観客の驚きは理解出来る
我々は アンの兄貴の異常さ、この兄妹の関係を 簡単に想像出来る時代に生きている
恋愛(破綻)→妊娠→母子家庭となった、アンが 情緒不安定ながらも 人間(母)として成長するのとは対照的に、社会的には自立したものの 妹に執着したままの、幼い(異常な)兄…
妙にリアルで怖い、普遍的な物語になってしまったのね
な、訳で 途中から ラストが推察されるが、アンが 一人で動き始めてからの 盛り上がりは、やはりすごい
行進しながら 庭に出て来てから、ブランコまでは 正気(母性愛)と狂気の直接の闘いである
動のリンレー、デュリアに対し 静の オリビエ、カワードが 贅沢(重厚)過ぎるか?
どうなんだろう
兄貴が 警察に対して、ペンの力で 簡単に脅しをかけるのも 昨今の日本の記者の様で、可笑しかった
とても 面白かった
ソール・バスのタイトルも カッコいい
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