一兵卒の死
解説
「悪魔(1928)」「燃ゆる愛歌」の監督者レノード・ホフマン氏が監督製作した映画で、「イバニエズの激流」「明眸罪あり」等の脚色者ドロシー・ファーナム女史原案のテーマによってジェームズ・J・タイナン氏が物語を組み立て、「大飛行艦隊」「キートンの結婚狂」のE・リチャード・スケイヤー氏が脚本化した。主役は「肉に餓えたる野獣」「決死隊」等に出演した故チャールズ・エメット・マック氏が勤め、「最後の戦線」「鉄仮面」のマーゲリット・ド・ラ・モット嬢が相手役で、「言論の自由」「黒旋風」のヘンリー・B・ウォルソール氏、「黄金の世界へ」のジョージ・クーパー氏、エセル・ウェールス嬢、クレア・マクドウェル嬢、シド・クロスリー氏等が助演している。キャメラは「アリバイ」「地獄船」のレイ・ジューン氏が担当した。
1926年製作/アメリカ
原題または英題:The Unknown Soldier
ストーリー
1917年4月6日米国がドイツに宣戦布告した時ホームウッドという小さい村に住むフレッド・ウィリアムスは直ちに志願してフランス戦線に赴こうと思った。彼は雇い主のジョン・フィリップスの娘メエリーに恋していたので、彼女がフレッドの勇気と愛国心とを称揚した時彼は感激して彼女に愛を誓った。フレッドは唯一人の身寄りである母親と尽きぬ名残を惜しんで勇ましく出征した。フランスに着いてから米国軍隊は訓練を受けた。フレッドは別れて以来メエリーに毎日のように手紙を出したが彼女からはまるで返事がなかったので思い悩んでいると、ある日彼の許に小包みが届いた。それは彼女の父親から来たもので彼が心をこめて書いた手紙の束だった。そして娘に便りなんか寄越して貰いたくないと書き添えてあった。フレッドは悲しみに胸をとざされながら兵士慰安のために催された演芸会に行って見ると思いがけなくダンサーの中の一人はメエリーだった。フレッドは彼女に会って彼女の父から送り返された手紙を彼女に示した。彼女はそれを読んで彼の燃えるような愛を知り、彼女もフレッドを想っていればこそ、戦場に兵士慰安係を志願してきたことを語り結婚することを承諾した。二人の結婚式が挙げられた日全軍前進の命令が下った。新婚の夫婦は僅か一夜を契って明くる朝にはフレッドは出発しなければならなかった。メエリーは別離の悲しみに心も重くホテルへ帰る途上、二人を結婚させた牧師が憲兵に捕えられているのを見た。驚いたことには牧師というのは脱走兵が変装していたもので、二人の結婚は無効であったのだ。メエリーはこのことをフレッドに告げようとしたが隊伍の中にいる彼には通じなかった。数ヵ月後フレッドはメエリーからの手紙を読んで絶望し死を決して伝令の役を引き受けた。連絡を断たれた味方の1部隊に達してその正確な位置を本隊に知らせるのが彼の任務だった。フレッドはこのために死線を再び越えて負傷しながらも使命を果たし、ルールにいるメエリーに会おうと砲煙弾雨の巷を彷徨した。ところがルールの野戦病院で看護婦をしていたメエリーは一夜の契りで妊娠していたため激務に堪えず卒倒して後方に送られた。メエリーは病院自動車の中からフレッドの姿を認め、呼んだが彼には聞こえず、折から落下した砲弾の煙にフレッドは包まれてしまった。平和回復後もメエリーはフレッドの行方を1年間探したが徒労に終わった。彼女が戦地で生み落した愛児をつれて故郷に帰ってから数年後、勇敢なる一無名兵士の葬式が行なわれた。メエリーは愛児と父とフレッドの母と共に参列したのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- レノード・ホフマン
- 脚本
- E・リチャード・スケイヤー
- 脚色
- ジェームズ・J・タイナン
- 原案
- ドロシー・ファーナム
- 製作
- レノード・ホフマン
- 撮影
- レイ・ジューン