都会の幻想

解説

ローランド・バートウィー氏とハロルド・ディーアドン氏との合作舞台劇を映画化したものでホープ・ロアリング女史が改作し、ルイズ・ロング女史が台本を執筆し、「燃える唇」「一夜の秘密」と同じくロタール・メンデス氏が監督した。出演者は「暗黒街」「非常線(1928)」のイヴリン・プレント嬢、「忘れられた顔(1928)」「暗黒街」のクライヴ・ブルック氏、「忘れられた顔」「非常線(1928)」のウィリアム・パウエル氏並びに「巨人の谷」「鉄腕の男」のドリス・ケニヨン嬢、「笑う男」のブランドン・ハースト氏という腕利き揃いである。撮影は「人生の乞食」「暗黒街の女(1928)」のヘンリー・ジェラード氏。

1928年製作/アメリカ
原題または英題:Interference

ストーリー

フィリップ・ヴォーズは欧州大戦い参加しフランス戦線で行方不明になり戦死したものと信ぜられていたが、命拾いをしてロンドンへ帰って来た。彼は酷く健康を害しているので名医の診断を乞う為に帰国したので名もジュリサン・アクロイドと名乗った。彼のつま立ったフェイスは良人の戦死の報を得た後真面目な医師サー・ジョン・マーレーと再婚し幸福な生活を送っていた。ところがヴォーズが戦前フェイスと結婚するまで彼の情婦だったデボラ・ケインはヴォーズの結婚後もそして戦死を伝えられた後も彼に対する恋情を失わずにいたが、はしなくもヴォーズがアクロイドとしてロンドンにいることを知り愛の復活を願ったが元来彼女を愛していないヴォーズは彼女を斥けてしまった。デボラは恋人が他人の妻になったフェイスを愛しているらしいのを知って嫉妬に堪えずマーレー邸にフェイスを訪うて500ポンドの金を強請り取りた。ヴォーズのアクロイドはマーレー博士がフェイスの夫とは知らず診察を受けに来てフェイスに逢い、彼女が処女時代にヴォーズに出した手紙を取り返してやると約束した。そしてその夜デボラを訪れ首尾よく手紙を取り戻したが彼女が某新聞社に記者の出張を乞うたから明朝の新聞はマーレー夫人が重婚している記事が出ると言ったので、ヴォーズはデボラに毒酒を飲ませて殺害し禍根を絶った。そのあとへフェイスの苦悩の原因をヴォーズから聞いたマーレー博士が来てデボラが毒殺されているのを見て犯人が妻のフェイスであろうと推察し、デボラが自殺しているように見せかけた。ところが急報によって出張した警視の探偵ヘインズはデボラが左利きであるのに右手に毒薬の瓶を持っているのを看破し早速マーレー邸に赴いた。それより先ヴォーズはマーレー夫妻を訪問し例の手紙をフェイスに返却したが探偵がマーレー博士に嫌疑をかけているのを知り自ら罪を告白した。余命幾ばくもないのを知るヴォーズはフェイスの幸福を祈りながら護送されて行った。

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