ソプラノ奥様
解説
「巌窟王(1934)」「暴君ネロ(1932)」のエリッサ・ランディと「盲目の飛行士」「三日姫君」のケーリー・グラントが主役を演じる映画で、「三角の月」「彼女は僕を愛さない」のエリオット・ニュージェントが監督に当たったもの。原作はギルダ・ヴァレシ・アーキボルドとドロテア・ダン・バーンズ共作の戯曲で、「可愛いマーカちゃん」「明日無き抱擁」のグラディス・レーマンがチャールズ・ブラケットと共同して脚色した。撮影は「女は要らねえ」のシロドア・スパーキュールと「盲目の飛行士」のウィリアム・C・メラーが共同担当。助演は「ルムバ」「その夜の真心」のリン・オヴァーマンを始め、「青春の頬杖」のシャロン・リン、新顔のミシュレット・ビュラニ、「空中レヴュー時代」のポール・ポルカシ、「海軍士官候補生(1933)」のフランク・アルバートソン、「西部無敵王」のセシリア・パーカー、エイドリアン・ロズリーらで、有名な歌手のポネーリが特別出演している。
1935年製作/アメリカ
原題または英題:Enter Madame
ストーリー
ロンドンのコオヴェント・ガーデンでイタリアのオペラ女優リザ・デラ・ロビアは聴衆を魅了していた。ボックスでジェラルド・フィッジエラードはフローラ・プレストンと言う婦人と見物していたが、リザの衣装に蝋燭の火が燃え移ったのを見て、舞台へ飛び下り、火を揉み消そうとしたが、カーテンに頭を撃たれて失神して倒れた。リザは彼を自分の邸に連れていって心からの介抱をした。2人は恋仲となり、リザの支配人ファーンハムの反対を一蹴して結婚した。ジェラルドはリザの巡業中、楽しい新婚気分を味わうつもりでいたが、彼は犬の面倒を見たり、召使たちの手伝いをしたりせねばならなかったので、早く旅興行の終わる事を祈っていた。巡業が終われば2人でアメリカへ休暇を楽しみに行く想定であった。しかしリザは又新しい巡業の契約をしたので、ジェラルドは1人でアメリカに出発したが、船中で彼はフローラに再会した。リザとの結婚生活にあきたらないジェラルドは次第にフローラへ傾いていった。やがて彼は妻に離婚を求める旨電報を送った。リザは早速アメリカへ渡って来、ジェラルドの心を取り戻すべく彼女一流の芝居を打った。今はフローラと結婚するばかりになっていたジェラルドではあったが、やはりリザが忘れられず、元の莢に帰った。リザの芝居は見事に成功したのであった。フローラは怒って莫大な手切れ金を要求し、新聞記者はリザの許へ押し寄せた。丁度この時リザの許へ南米から契約を申し込んで来ていたのを幸い、ジェラルドとリザは非常梯子から逃れて南米へ向かった。けれど今後はジェラルドはもはや犬の世話をしないでよくなった。リザは彼の忠実な妻になると言うのである。