征服の力

解説

「黙示録の4騎士」を監督製作して盛名を馳せたレックス・イングラムがそれに次いで監督したメトロ映画で、主役は前者同様ルドルフ・ヴァレンティノとアリス・テリーとでそのほか老巧な俳優が多数出演している。筋から言うと寧ろ守銭奴に扮するラルフ・ルヰスが主役の形もある。原作は最近公開された「巨人コラン」と同様有名なるバルザックの「ユーゼニー・グランデー」で、脚色はジューン・メイシスの手によったものである。

1921年製作/アメリカ
原題または英題:The Conquering Power

ストーリー

父の指図で華美なパリを去り田舎の叔父の家を訪ねて来たグランデー青年はここで野菊のように美しく優しいユーゼニーと互いに心の結ばれるのをおぼえた。彼女は表面上いかにも青年の叔父の娘即ち青年とはいとこ同志のようにいわれているが実は叔父の後妻の連れ子で心良からぬ叔父が己が物質欲を満足させるためのそれは虚構であった。彼は天性の守銭奴で村中でも憎まれきっていたが、それでも彼の底知れぬ財産と花のような娘ユーゼニーに惹かされて熱心に彼の家に婚姻を求めて来る2家族があった。この甘い夢のような生活からグランデー青年を放り出した原因は彼の父の死ばかりでなく叔父の欲深き悪計から当然己が物たる財産を横領されあまつさえ恋人との仲をせかれたことで、彼は飄然南洋の植民地へ去りやらぬうれいき思いを抱いて赴いた。やがてユーゼニーには結婚の話が出たが、それとて彼守銭奴の秘密を知るクルショーを口止めするための政略結婚で、フランスの片田舎と南洋の仮屋とに2つの満たされぬ心は一守銭奴の差金から互いに悲しい恨めしい日を送っていた。しかしやがて守銭奴の叔父は我の煩悩執着の犠牲となり気も狂おしく悶死し、こわされた雛の巣に春の陽の柔かく恵まれる時が来た。

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